第27話 映画にまつわる手紙 5−5
※キャロライン・ルルイエからの手紙の続き
巫女たちが、何だかわからない言葉で騒ぎ出したの。
「イア」とか「フングル」とか。
意味はわからなかったけど、響きがとてもおどろおどろしくて――でもルイーザは平然としていて――
これはクトゥルフへの祈りなんですって。
でもここは偽物のルルイエで、しかもニャルラトホテプが支配する空間で、そもそもクトゥルフは眠っているのだから祈りの声が届くわけがないって――
だけどそうじゃなかったの。
巫女たちはあの声で、クトゥルフではなく、仲間の巫女を呼んでいたのよ。
いきなり現れた三人目の巫女がナイフで網を切り裂いて、そのナイフを仲間にわたして――
ナイフを受け取った巫女が、ルイーザに切りかかっていったの。
別の巫女が「切り裂きジャック!」って叫んでいたわ。
「行け!」って、応援? 命令? してた。
あの巫女が、わたしがイギリスを発つ前にニュースになっていた連続殺人犯だったのかしら?
そういえば、こうやって手紙を書きながら思い出してみると、わたしがアメリカに来てから新聞を見ても、切り裂きジャックが逮捕されたとも新しい事件を起こしたとも載っていなかったわね。
これって切り裂きジャックがわたしたちを追ってアメリカに来たからなのかしら?
――話を戻すわ。
巫女がナイフでルイーザに切りかかって、わたしは体が動かなくて――たぶん別の巫女に薬を嗅がされたんだと思う――気を失ってしまったの。
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