第22話 映画にまつわる手紙 5−3
※キャロライン・ルルイエからの手紙の続き
記憶が混乱しているわ。
これを言ったのは本当にルイーザだったかしら?
ニャルラトホテプに頭に刷り込まれたのかしら?
大昔の、まだ人類が誕生してなくて、クトゥルフが地上で暴れていたころの話ね。
大いなる種族の人たちがね、何度も会議を重ねたの。
クトゥルフをやっつける方法について。
ある学者は、ニャルラトホテプの力を利用しようと言った。
ニャルラトホテプにはクトゥルフを倒せるほどの力があって、それでいてクトゥルフほどには凶暴じゃない。
光に弱いだとかの弱点もハッキリしているし、我々大いなる種族の知恵と技術をもってすればニャルラトホテプをうまく操れるはずだって。
でも別の学者は反対したの。
ニャルラトホテプはクトゥルフよりもはるかに危険な邪神で、利用しようなんてとんでもない、関わってはいけない、我々のようなケシツブの存在を彼のモノに認識させてはいけない、と。
大いなる種族の女王アトラは、別の作戦を選んだ。
(※何度も書き直した跡が見られ、キャロライン・ルルイエが適切な言葉を選ぶのに苦労した様子がうかがえる)
クトゥルフにはたくさんの下僕がいて、インスマウスの人たちもクトゥルフの下僕なのよ。
下僕の中でも一番の下っ端。
でも一番多く生き残ってる。
クトゥルフは星の動きによって目を覚ましたり眠ったりするの。
何千年、何万年、何億年というスパンで。
クトゥルフの下僕はクトゥルフに生け贄を捧げることで、クトゥルフが寝るはずの時期にも起きていられるようにしようとしてた。
大いなる種族の仲間もさらわれて生け贄にされて、だからクトゥルフと対立しているの。
クトゥルフの寝所はルルイエの都にある。
クトゥルフの下僕は世界中のいろんな場所で生け贄の儀式を行って、エネルギーをルルイエへ送る。
大いなる種族は偽物のルルイエとしてアトランティスの都を造って、ルルイエに送られてくるエネルギーを横取りして、そのエネルギー使ってルルイエとアトランティスをひとまとめに海の底に封印して、クトゥルフをいつもよりも長い眠りにつかせた。
この封印のときにアトランティスに居なかったのが、サン・ジェルマンおじいちゃまや、フェブラリー・タウンの住人たち。
本当はおじいちゃまもフェブラリー・タウンで暮らすはずだったけど混乱があって、女王アトラはとっさにおじいちゃま一人だけを別の時空に避難させた。
とっさだったのでほとんど何も説明できなかったから、おじいちゃまがそちらの時空から出る方法を見つけるのに、そちらの時空の時間で一年かかった。
外に出たとき、こちらの時空では数億年が過ぎていた。
それから五百年に渡り、おじいちゃまは時空の歪みを引きずって年を取ることもないままにアトランティスへの帰り道を求めて放浪して、やっと見つけた手がかりがパトリシアおばあちゃま。
クトゥルフの下僕の子孫たちは、クトゥルフを復活させる方法を探し――
編み出した邪悪な儀式に、パトリシアおばあちゃまはたまたま巻き込まれてしまっていた――
ああ、思い出したわ。
これ、ルイーザが言っていたのよ。
間違いないわ。
ルイーザが知ってるはずのないことまで含まれてるけど。
それでルイーザ自身も困惑していたわ。
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