第6話 洋服

 ミィは食べ終わると、両手を上にあげて伸びをする。すると、床に四つん這いになってストレッチを始めた。足を上にあげたり下げたり、伸ばしたり縮めたり。ムチムチの太ももの奥に白いパンツが見え隠れする。本人は気にする様子もなくしばらく足を動かしたりしていた。

 一応説明書に書いてあった通り、トイレの場所と食べ終わった食器の後片付けを教える。顔中泡だらけにはなっていたが、少しずつ慣れてくれるだろう。

 「今からミィの服を買いに行くよ?」

 「…服?」

 キョトンとした顔で不思議そうにこちらを見る。真ん丸の目がガラス玉のように透き通っている。

 一時的にミィには、ダブダブのジャージを着てもらい車で近くのカジュアルウエアショップへ向かう。ここなら、男女兼用の服があるし、下着も売っているので入りやすい。

 店に入ると、かごに好きな服と下着を選んで入れるように教える。其々の場所に連れていき選んでいる間は自分の服を選びかごに入れる。

 ミィが選んだ服はどれも派手で明るい色が多かった。ヒョウ柄のスキニーやラメ入りのロンTに、黄色やピンク。下着は黒が多い。スニーカーも一足買って店を出る頃には袋でいっぱいになってしまった。

 試着室で、服を着て出てくると、どこかのモデルさんのようによく似合っている。駐車場へ行く途中、私の横をちょこまか歩くミィに何人かの人が振り返る。

 その後ドラックストアで、化粧品やスキンケア用品にシャンプー等を買い揃え、家に帰る頃には車のトランクでは入りきらず後部座席まで買い物袋に占領されていた。

 ミィはというと疲れたようで助手席で口を開けて眠っている。

 私は起こさずに、買い物袋をアパートに入れるのに何往復かして最後にミィを起こした。

 「ん~」っと伸びをして車を降りる。まだ眠そうにしながらあくびをする。猫の時もよくあくびをしていた姿がダブって見えた。

 

 

 

 

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