文系だけど異世界で活躍できるよね?
葵流星
はじまりは突然に
第1話 分かれ道
ここはどこなのだろうか?。
辺りは闇で満ちていた。
寒さは感じはしないが、不快なことに変わりはない。
見あたしても何も見えない、目を閉じているわけではない。
ちゃんと目は開いたままだ。
というか何でこんな所に俺はいるのかな?。
死んだのかな…俺?。
急に辺りが明るくなった。
振り向くとそこには炎があった。
赤い炎だ。
ただ、その炎は空中に浮いていて人魂のように不規則に炎を揺らしていた。
「やあ、初めまして?」
「…あんたは?」
「プロメテウスだ。」
「…亡霊の間違いでは?」
「違うよ、でもあながち間違ってはいないけど。」
「ファンタジーは興味ないんだよなぁ…。」
「ファンタジーではなく現実なんだけど…まあ、いいや。」
炎はそう言った。
「突然だが、間違えてキミを殺してしまった。」
「なっ、何を言って…というか何で話ができるんだよ!」
「ああ、そういうことかそれくらい造作もないことだからねえ。」
「……。」
俺は部屋でゲームをしていただけ…。
そういえば...携帯が鳴って...。
けど、FPSがやめられなくて...。
本当だったんだな…やめられないって。
というか死んだのか、俺は?
だとしたら…何でだっけ?。
俺が死んだ理由は?
いや、まさかな…。
「なあ、俺は死んだのか?」
「ああ、地震でね。」
「…地震って。」
「キミは生きたいか?」
「そうだ!というかまだ俺の人生は始まっても終わってもいなかったんですが!」
「そっか、良かった…少なくともキミは生きていたいと希望を持っている人で…。ああっ、そうだ…ここはキミの居た世界とは乖離(かいり)している世界だ。死後の世界と言うべきか…。まあ、言い方は様々だ。ここから先には既に多くの人が行ってしまったよ…キミも行くかい?ここから先に行きたいのなら案内はするさ…。」
おそらく、天国か地獄のことだろう。
「行きたくない。」
俺はそう言った。
炎は嬉しそうだった。
「それじゃぁ、転生することになるけど?」
「何故?」
「ボクとトールは間違えてしまったんだ。本来キミを含めた人たちは死ななくて良かった。」
「…間違えてって…それじゃ、俺や他に死んだ人も間違いだって言うのか…。」
「ああ、そういうことさ。それで、私達はキミたちを無かったことにする。」
「無かったことに…どういう意味だよ、それ。」
「存在を消すというのとは違うかな、蘇りじゃなくて転生かな。二つに一つしか選択肢はない。おそらく、キミにとっての最適解は転生だ…。」
「転生…他には何か無いのか?」
「…還るだけだよ。」
「どこへ?」
「産まれると同じ場所にね。でも、再度産まれることは無いから。本当の終わりだ。死後の世界ではなく停滞し続ける概念的な世界に留まることになる。」
「それでもまた、生きるよりも死の方が楽か…。あんたの話だと家族にも会えないってことなんだろう?」
「ああ、それでほとんどの人は行ってしまったよ。まあ、時代の流れだろうね。もう少し前は多かったよ私の命がある限り戦い続けるとか…。」
「なあ、さっき間違えたとか言ってたけど他にもあるのか?」
「う~ん、広島長崎もそうだし世界の危機もそうだったよ。」
「あれは人為的なものでは?」
「…。」
「はあ~…そうですか」
「話を戻すけどキミは本当に転生するかい?」
「ああ、そうするよ。」
「そっか、お詫びといっては何だけど力をあげるよ…。」
「力?」
「ああ、正確にはエネルギーだよ、キミと行った人たちの…キミは生まれながらにその力を持つことになる…それでも行くかい?」
「まだ、俺はその…還りたくはないかな…行くよ。どこかは知らないけどそっちの方が良さそうだ。」
「何歳からにする?」
「年齢が選べるの?」
「ああ、せめてもと思ってね」
「4歳ぐらいで…。」
「わかった。けど8歳からだ。」
「何で?」
「キミは教会の神父に拾ってもらい言葉と字を覚えるとこになる」
「言葉が違うのか?」
「ああ、だからお詫びといっては何だけどキミは言いたいことが言える、書きたいことが書けるようにする。そのため、8歳からだ」
たしかに4歳だとおかしいからな…そんなことが出来たらな。
いや、待てよ…。
「別に六歳でもよくね?」
「小学校前からスタートになるけど?」
「…なんか嫌だなそういうふうに言われると。」
「だろうね…それでどうするんだい?」
「いいよ、8歳からで…というか、それが一番小さい年齢なんだろ?いいよ、それで…。」
「わかった。」
「ところでその異世界の言語は日本語なのか?」
「違うよ、だからこそのお詫びだ。それと祝福を送るよ。キミの記憶は引き継がれる、けど言葉を引き継ぐとなると大変だろう。だからそうする。」
「そんなことが…いや何を言っているのか全然わかんねえ。」
「簡単に説明するとだね、君の依り代となる人形に君のデータをインストールした上でさらに何かしら付与する。」
「何かしらとは?」
「祝福のことさ、イケメンにしてあげるとか。」
「まっ、マジで!」
「できるんだよなあ、それが…。」
「お願いします!」
「ふふっふ、任せたまえ。」
そういえばさっきから軽い口調で言っているがこいつは何なんだ?。
神様ってこんなに話しやすかったって?
「それにしても、依り代か…どこかで聞いたような…。」
「ああ、一つ言っておかないとね。」
「なんだよ?」
「依り代に君の記憶を移動させるときその依り代の記憶を消すことになるから。」
「ふ~ん…。」
「いや、そういう反応じゃなくて…そのだねえ…依り代は「「死ぬ」」、そして君は「「産まれる」」。?って顔をしているね。良いだろう、わかりやすく言うと前のデータをゴミ箱に捨てて移動させる。ゲームとかはすべて行と文字の集合みたいなものだから空になったゲームは動かない。つまり、依り代の呼吸とかの生理現象までデータ化して削除するから死んだことになる。」
「わかんないや…つまり何度も死ねないと?」
「そうだよ。」
「…命懸けか」
「まあ、そこら辺は気にせずに!」
「コンティニューできない異世界生活か…致命的というよりも何というか本当に転生なんですね。」
「さて、それじゃあ行ってらっしゃい。」
「えっ、ちょ、早くないか?」
「次に目覚めるのは森の中だ。キミの名前はレイジだ。すぐに教会のシスター、シェスカが来るだろう。キミの面倒を見てくれる人だ。さようなら、滝川直哉!」
「だから待てって…。」
「私だって忙しいんだよ…自分のせいだってわかっているからなおさらなんだよ…。」
足元が光った。
視界がまっ白になった…。
ここは…。
「…なんだここ?」
周りは見たことのない木ばかりだ。
針葉樹だろう…多分?。
空には訳のわからない生き物が飛んで行った。
鳥にしては…尾羽が多い。
「やあ!」
見るとプロメテウスがいた。
正確には、居るという表現がおかしいような気もする。
だって、ただの火球だし…。
それと、何故か青くなっているのだか?。
「何で青いんだよ!」
「ああ、そう見えるのか。ここには酸素があるからさ。さっきの場所には無かった」
これがなんで燃えているのか謎すぎる…変なところがリアルだ。
だけど、そんな全て炎が青くなるのいくら俺でも疑問に思う。
「案内はここまでだ。」
「待った、ここの世界のことを教えろ。」
「ああ、そうだね。この世界には魔法があるんだ。キミの世界とは違ってね。まあ、物理法則はそのままだから、あとは学べばいいよ。それじゃあ、また、いつの日か♪」
「えっ、待てって…。」
そして、プロメテウスは消えていった。
辺りを見回してももうどこにも居なかった。
変わりに修道女を来た女性がやって来た。
「あっ、レイジここに居たのね?」
「ん?」
この人は誰なのだろう?
おそらく、シェスカという人なのだと思うが…。
「誰と話していたのですか?」
「プロメテウスだよ…。」
「そんなこと言って…あれ?口調が…。」
「なんだよ?えっと、シェスカさん?」
「…あなたは誰?」
「えっ?」
「はあはあ、あっ、ここに居たのか…シェスカ。」
「どうされたんですか?神父殿?」
息が途切れ途切れになっているのこの男は?。
神父さんかな?。
「はあはあ、神託を預かったんだ」
「そうなんですか?…ええっ?」
「やはり…レイジがここに…間違えない」
「えっと…なんですか?牧師さん?」
「はは、初めましてレイジ!私がキミの育ての親だ!」
「…それは聞きましたけど?」
「その…レイジはどうしたのですか?
「ああ、神の子だったのだよ…。その子は…。」
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