共有
卑猥な音が寝室に響く。
「あ」
露出させられたモノを、絢斗が慣れた手つきで上下に刺激する。兄とは違って、優しい手つきだ。それがもどかしくて逆に感じてしまうだなんて、さすがにどうかしている。
「ん……はぁっ……んんん」
自分のカウパー液に濡れた絢斗の指が亀頭を刺激する様子は、見ているだけで達しそうだった。絢斗は徐ろに後ずさり、モノを咥える素振りを見せた。俺は咄嗟に布団を被って拒んだ。
「だっ……そんなことしなくていい……」
「……何それ……無理」
「手だけで! 嬉しいから!」
「……無理……俺がしたいからするんだよ」
そう言うと布団を剥いで、脚を開かせると俺のモノを口に入れた。どうしようもなく気持ち良い。頭がおかしくなるくらい、久しぶりの感覚に全神経が歓喜している。
「はぁあああっん……ん……あぁあああ」
「超絶可愛い……エッチだよ……葵……」
そう口走りながら俺のモノを舐め回す。つくづく、絢斗は変態だと思う。俺を好きになるばかりか、こんなことまで。
「そんっ……恥ず……こと……口に……出すなっ……へんた、あ、あぁっ」
苦しいだろうに奥まで咥えて、精液を搾り取ろうと必死になっているのが分かる。
「じゃあ、こんな変態の口に精液たくさん出してよ。ド淫乱の葵くん」
どうやら絢斗は性において少しだけS属性らしい。被虐趣味はないが気持ち良くて叶わず、そろそろ達しそうだ。
「あ……も……出るッ!」
「くひのなはでひっへ(口の中でイッて)」
そう指示して頭を動かすスピードを速める絢斗。搾り取るようなフェラチオに、呼吸が苦しくなる。
「んアッ、イクっ、イクっ、イ……クッ」
冷静な自分がどこか高いところから俺を見ているようだ。そう感じながら絢斗の口の中で果てた。さすがに男の射精を口で受け止めたことはないようで、「んッ」と驚いた声を上げると、ベッドを降りてティッシュに吐き出していた。
「ちょっと飲んじゃった……苦いね」
隣に立つ絢斗を横目に見ると、勃っているのが分かった。元々は兄の為にだけしていたことを絢斗にすることに多少の躊躇は伴ったが、決心した俺は起き上がった。
ベッドの端を指す。
「座って……今度は俺がするから」
絢斗のモノは大きかった。兄さんと同じくらいだとも思った。絢斗には好かれない思考だが、兄さん以外と体を重ねたことはないのだから仕方ない。
まずは丹念に舐めて、それから――兄さんとの行為を思い出す。ほとんど10年も放置していた性の記憶に、全身が打ち震える。
「うっわぁ……気持ち良すぎ……」
俺のフェラチオは上手だと言う――これに関しては兄に感謝することが増えてしまった――絢斗はとても嬉しそうに見えた。裏筋に舌を這わせる。絢斗が震えたのが分かった。
「ん……はぁっ……ソコ……」
これくらいのサイズなら、喉奥まで咥えられるだろう。そう思って勢いよく頭を動かす。絢斗の呼吸が荒くなる。
「なんッ……これ……あぁっ!」
ぷは、と息継ぎしてまた咥える。兄にしていたように、下品な音を立てながら吸い上げる。上目遣いで「気持ち良い?」と聞くと、絢斗は顔を真っ赤にした。
「クッソ……お前の兄ちゃんすげぇよ……なんて天使を生み出しやがったんだ……」
絢斗は俺の頭に手をやると、愛おしそうに撫でた。快感に悶えてくしゃっと髪を掴まれたり、頭を速く動かされたり、そんなことが堪らなく嬉しかった。
暫くすると絢斗も俺の口の中に射精した。俺がその白濁液をほぼ反射的ではあったが飲み込むと、絢斗は涙を流した。さすがに泣き出されてドン引きしたが、きっと彼の視点から見るこの行為は何か感情のゴール地点だったのだろう。
そして、そこまでしっかりと想われていることに心底、ほっとしている自分がいた。俺という重い存在を愛してくれる人は、きっと1人も居ないと思っていたから──
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます