彼が紡ぐ言葉の意味が、透は瞬時に理解出来なかった。

数回瞳を瞬かせてから彼を凝視する。

漸く、彼も同性愛者だ、と気付いた時には唇を彼のそれで塞がれていた。

「…っ、ふざけんな」

彼の胸を両手で押し退けるようにして、無理にそれを離す。

周りには聞こえぬように小声で、しかしはっきりと彼に告げてから、押しやったその腕で自身の口許を拭う。

その抗議じみた言葉に怯む様子もなく、さらに表情に笑みを刻んで彼の指先は透の身体の線を服の上から緩くなぞり始める。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい