ハジけろ！H☆H高校！

『バ、バレ、バレッ！』

桃「あああああっ!!　勝手に食べないでくださいよっ!!」

ﾅﾙ「うるさいわね、ちょっと味見しただけじゃない」

桃「味見で全部食べる人がいますか!!　もぉ～、また作り直さないとぉ～……(泣;」

凛「ちょっと桃っちさん、私のクッキーのほうも見てくださいよ！　何回焼いても割れてしまうんですが！」

ﾏﾘ「つっくりっましょ～♪　つっくりっましょ～♪　モルモルの顔、でっきるかな～♪」

世「あなた達、何をしていますの？」

桃「バレンタイン用のお菓子を作ってるんだけど……作っても作ってもこの人が全部食べちゃって(泣;」

ﾅﾙ「なかなか美味しいわよこのガトーショコラ。でももうちょっとビターでもいいんじゃない？」

桃「意見は求めてないです!!」

凛「会計さんは作らないんですか？」

世「わたくしは三ツ星の高級店に買いに行きましたわ。外出自由ですから」

凛「いちいち鼻につく女だぜ」

桃「手作りなら真心がこめられるよ！」

世「別に心をこめる必要なんてありませんわ。会長には毎年渡していますが、避けられぬ社交辞令ですから。それに、最近は手作りより既製品のほうがよいと答える男性が多いそうですよ」

桃「えっ！　そうなの!?」

凛「常識なんかクソくらえ！」

ﾏﾘ「の～みそコネコネ♪」

ﾅﾙ「食べられるんならなんでもいいし」

世「あなたは渡す側でしょう！」

ﾅﾙ「なんで富士子が食べ物を野郎どもにあげなきゃいけないのよ！　なんの得もないじゃない！」

凛「まあ、ナルシーさんはそうですよねぇ～。桃っちさんにとっては勝負時ですが」

世「あら、リベンジしますの？」

桃「リベンジって言わないで!!;;　まだフラれてないから!!;;　私はただ、日々の感謝の気持ちを伝えたいだけで!!」

凛「わかります。こういう機会がないと改まってお礼なんてできませんもんね」

世「まあ、別に否定的なことは言いませんけど、そのバッキバキに割れたクッキーはなんですか」

凛「こっちが聞きたいわ！」

桃「さっきお伝えした分量、ちゃんと量りました？」

凛「量りましたよ！　目分量で！」

桃「ちゃんと量りを使ってください！」

凛「おじいちゃん流は男気あふれた豪快クッキングなんです！　バッと入れてガッと混ぜてザッと揚げる！」

桃「今回のクッキーは揚げません！」

ﾅﾙ「でもラングドシャみたいで結構おいしいわよ、これ」

ﾏﾘ「お姉ちゃん、味見して！　はい、あーん♪」

凛「マッケンさんのの～みそなんて食えるか!!」

世「なぜ全員で同じものを作らないのですか」

桃「みんなにいろんな種類のお菓子を配ろうと思って、役割分担したの。私はガトーショコラ」

凛「私はクッキー」

ﾏﾘ「パン！」

世「パン……」

桃「早くしないと明日になっちゃう！　――とりあえず、凛さんは作り方をもう一度確認してください！　真理さんは生地で遊ばないで！　富士子さんはどっか行ってください！」

凛「しょうがないなぁ」

ｶﾐ「ゴミ桃がっ……」

ﾅﾙ「また失敗作ができるかもしれないじゃない！　全部完成するまでここにいるわ！」

桃「完成品も食べるくせに!!;;」

世「……まあ、せいぜい頑張るのですね」

～・～・～・～・～・～・～・

世「――会長、社交辞令の季節がやって来ましたわ。どうぞ」

王「え？　……ああ、今日はバレンタインなんだね。ありがとう」

世「ほら、その他の寂しいダメンズ達にもおこぼれを差し上げますわ」

熱「イヤッホォォォォォォォォォォォウ!!!!!!　世麗奈っちから愛のおチョコレートだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

ﾏｯ「もらえるものはもらっておきましょう……」

世「……ほ、ほら、あなたにも〝仕方なく〟差し上げますわ」

ﾋﾟ「うおっ!!　洋酒入りのチョコか！　美味そうだな！」

世「……///　――カリオス今田、あなたの分もありますのよ」

隼「要らね」

世「なんですって!?」

凛「……隼人さん……とても悲しいお知らせがあります……」

隼「あ？　どした」

凛「凛ちゃんは皆さんのためにクッキーを焼きました……なんとかうまく焼けました……。だがしかし!!　隼人さんのために作ったハート型のクッキーだけは何故かバッキバキに!!　何度焼いてもバッキバキに砕けてしまったのです!!　これは一体何を意味しているのですか!!　私の気持ちなど無駄だという悪魔のささやきですか!!　ぶえぇぇぇ～ん!!(泣;」

隼「そ、そんなことで泣くなよ;;」

凛「私は隼人さんに感謝の気持ちを伝えたいだけなのに!!　神は許してくれないのですか!!　うえぇぇぇ～ん!!;;」

隼「泣くなって;;　ほら、食ってやるから……」

凛「ありがとうございます!!」

隼「ﾊﾟｸｯ……――苦っっっっっっっ!!!!!?」

凛「隼人さんの体を想ってセンブリ茶を入れてみました♪」

隼「テメェェェェェッ!!!!」

桃「凛さん……そんなものを……;;　――でも!!　私のは変なもの入れてませんよ!!　会長、よかったら受け取ってください//!!」

王「ありがとう、桃子くん！　いつも会社関係の人や母さんからしかもらったことがなかったからすごく嬉しいよ！」

桃「よ、喜んでいただけて恐縮の極みですっ//」

ﾏﾘ「モルモル見て！　モルモルパンだよ！　真理が作ったんだよ！」

ﾏｯ「これは……素晴らしい出来です……。頭の形がユニバースですね……天才の僕をうまく表現できています……」

ﾏﾘ「やった！☆」

ﾅﾙ「しょうがないわね～。富士子もカッキーの味噌漬けを配ってあげるわ！」

熱「富士子すわんの手作りお料理フッフゥゥゥゥゥゥゥ～!!!!!!」

ﾅﾙ「ほら、貴重な保存食よ！　一人一口だけよ！」

熱「Σクッセェェェェェェェェッ!!!!!!!!!!(ﾊﾞﾀｯ」

凛「熱血さんが死んだ」

世「な、なんですのこのニオイは！」

ﾏｯ「漬物とはそういうものです……」

ﾅﾙ「まったく、この良さがわからないなんてろくでもない人生を送ってきたのね。ﾊﾟｸﾊﾟｸﾑｼｬﾑｼｬ」

桃「結局一人で全部食べてる……;;」

王「大丈夫かいマサハル君！」

熱「うっ……ふ、ふじこ……すわん……。――ふ……富～士子すわぁぁぁぁぁぁぁん!!!!♪」

王「わぁぁぁぁぁぁぁっ!!!?」

桃「キャー//!!　会長がマサハル君に襲われてるぅぅぅぅぅ//!?!?」

世「ちょっとバカハル!!　何をしていますの!!」

熱「富～士子すわぁぁぁぁぁぁぁん!!!!♪」

世「キャアァァァァァァァァッ!!!?」

凛「熱血さん、なんか様子がおかしいですね」

隼「漬物のニオイにあてられたんじゃないか」

世「ちょ、ちょっとやめなさいバカハルっ//!!　あなたお酒のニオイが……Σハッ！」

ﾏｯ「どうやら……洋酒入りのチョコレートに酔ったようですね……」

凛「そんな人いるんだ」

熱「富～士子すわぁぁぁぁぁぁぁん!!!!♪」

桃「イヤァァァアァァァッァッ!!!!　――殺人蹴りっ!!」

熱「ｸﾞﾌｯ!!　……――富～士子すわぁぁぁぁぁぁぁん!!!!♪」

桃「無敵!?」

熱「ふっふっ、ふぅじこすわん♪　ふっふっ、ふぅじこすわん♪」

凛「なんかエリザベスさんみたい☆」

隼「楽しそうに言うな」

ﾏﾘ「怖いよモルモルぅ……！」

ﾏｯ「僕達は実験の続きでもしに行きましょう……それではお先に……(ﾄﾞﾛﾝ)」

ﾏﾘ「(ﾄﾞﾛﾝ)」

凛「ああっ!!　どさくさに紛れて真理ちゃんがさらわれた!!　あのハゲ忍者!!」

熱「富～士子すわぁぁぁぁぁぁぁん!!!!♪」

凛「うるさい!!」

熱「ｹﾞﾌｫｯ！」

隼「おい、もう一人様子がおかしいやつがいるぞ」

ﾋﾟ「イエェェェェェェェイッ!!　レイたぁぁぁぁぁぁぁ～ん!!☆」

桃「キャアッ//!!　何するんですかぁ//!!」

凛「お、久しぶりにスカートめくりの達人が目醒めたか」

王「チンピラ君！　やめるんだ！」

ﾋﾟ「おほほっ、可愛い子ちゃんじゃねぇか～！♪」

王「わぁぁぁぁぁぁ!!　僕は女の子じゃないよっ!!;;」

凛「隼人さんもあのチョコ食べて！」

隼「ブツぞ」

世「なんなんですかこの変態どもは!!　早く誰かなんとかしなさい!!」

凛「なんとかって言われても、熱血さんが求めてるナルシーさんはトイレに行っちゃったから一時間は戻ってこないし、レイたんは現実にいないし、っていうか誰でもよさそうだから会計さんと桃っちさんでなんとかしてください。チャンスですよ！」

世「な、なんのチャンスですか!!」

ﾋﾟ「レイたぁぁぁぁぁ～ん!!♪」

世「おおおおおやめなさい馬鹿者ぉぉぉっ//!!!!」

ﾏﾏ「――あなた達、何をしているの？」

熱「Σッ!!　ご、極上だ!!　極上の富士子すわんだぁぁぁぁぁ!!」

ﾋﾟ「極上のレイたんだぁぁぁぁぁ!!」

王「母さん、危ない！」

ﾏﾏ「あらあら、甘えたさんなのね♪(ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ)」

凛「すごい、犬をしつけるがごとく手つき！」

熱「俺っち幸せだぁ～……♪」

ﾋﾟ「早く燃え尽きた～い……♪」

ﾏﾏ「ご褒美におやつをあげちゃう♪　はい♪」

熱＆ﾋﾟ「わお～ん♪(ﾊﾟｸｯ)…………――ﾊﾞﾀｯ」

凛「あ、死んだ」

桃「何を食べさせたんですか!?」

ﾏﾏ「睡眠薬入りのチョコ♪」

凛「さすがママです！」

隼「センブリ茶といい睡眠薬といい、恐ろしい親子だな」