正生徒会、現る―(10/11)


まあそんなこんながあって、私とナルシーさんも中に戻り、他の人が入ってきたのでお風呂から上がることにしました。


「もぉ~意味わかんない! せっかくお風呂上がりの牛乳奢らせてやろうと思ったのにぃ!」


「逃ゲ足、速カッタデスネー」


私は髪を乾かしてまとめ上げ、ヘアクリップで留めます。


「トロちゃんの髪良いなぁ、黒髪のストレート。富士子のは、なんかへなへなしてるし」


「エェ? ソノ髪、地毛ナンデスカ?」


「そうよ」


不二子ちゃんの真似してるのかと思ってた。


「ソーナンデスカー。デモ、ナルシーサンニ、ヨク似合ッテルト思イマスヨ~」


「あら、そう?♪」


超嬉しそうな顔してる。

痩せてるナルシーさんには似合ってるって意味だったんですけどね。


「やっぱり富士子はなんでも似合うのよね~♪ トロちゃん、ジュース奢ってあげる♪」


「エ、ア……アリガトウゴザイマース」


単純な人だな。


「フジコのフジはァぁ゙ァァ~藤岡弘、のフジぃィィィ゙ィ♪」


え!? 藤岡弘!?

っていうか、痩せると音痴になるのか!?


「行くわよォォオ゙ォ~トロちゅあ゙ぁ~ん♪」


「ア、ハイ~……」


私とナルシーさんは廊下に出ました。


すると。


「──あ」


タイミング良く、男湯からピーラーさんが出てきました。


「あっ!! 変態ピーラー!!」


ナルシーさんはピーラーさんに掴みかかります。


「いででででででっ!!」


「あんた!! 覗きの罰として、富士子にヨーグルト牛乳とコーヒー牛乳とフルーツ牛乳とメロン牛乳とストロベリー牛乳とパイナップル牛乳奢りなさい!!」


そんなに種類あるんだ。ワクワクもんだぁ。


「誰がお前なんかにっ!!」


「あとスタンダード牛乳も!!」


「いででででででででっ!!!! わーったわーった!! わーったから放せ!!」


勝者、グラマー・富士子・オクターブ!


「よしよし。じゃあさっさと行くわよ」


ナルシーさんはそのままピーラーさんを引きずって休憩ロビーへ向かっていきました。

ナルシーさん、まるで女子プロレスの選手だ。今は痩せてるのに。

っていうか、ピーラーさんって45円しか持っていませんでしたよね。


「──ふぅ~、行ったか」


ナルシーさん達が見えなくなった後、男湯からカスさんが出てきました。


「ピーラーサンヲ売リマシタネ」


「俺、財布どっかやっちまって、いま一文なしなんだよ」


あ、返してもらってないんだ。

まあ、黙っておこうかな。


「……頭、大丈夫デースカ?」


「ん、ああ、こんなもん痛くもかゆくもねぇよ」


さっき苦しんでたのはどこのどなたでしたっけ。


「スミマセンネ~、ブン投ゲテシマッテ」


いいストレス解消になりました。


「べ、べっつに! そりゃ、びっくりはしたけど、頭打ってイイこともあったからな!」


「イイコト?」


たんこぶができて身長が伸びたとか?


「ちょっとな。昔のことを思い出したっつーか……」


「昔ノ、コト……」


昔……。


「まあ、なんとなくだけどな。まだ確信ねぇし」


「…………。私ニハ~、ヨクワカラナイコトデスネー」


「んー……そうかもな……。わりぃ、今のは聞かなかったことにしてくれ」


「それは無理デース、不可能。アナタガ、私ニ話シタコトヲ忘レレバ、万事解決~」


もしかして、カスさんのマル秘話が聞けるチャンスだったのかな。


「お前って、たまにキレたこと言うよな」


「ワターシニッポン語ワーカリーマセーン」


「変なやつ」


お互い様です。


「ま、お前のそういうところは嫌いじゃないけどな」


上から目線はやめてください。

お腹が立ちます。


「私モ、アナタノ変ナトコーロ、嫌イジャナイデスヨ~」


「変なところ?」


「スグニ顔ガ赤クナルトコロトカ」


「ばっ、バカ言うな//!!」


ほら、また赤くなった。

可愛いですね~ふっふふ。


「アメリカンジョークデスヨ~」


「殴るぞ!」


「投ゲルゾ!」


「ごめんなさい……」


「ヨロシイ」


勝った☆


「ったく、怖ぇやつだな」


あなたも十分怖いです。

何やらかすかわかりませんし。


「──んじゃ、俺は財布探しに行くぜ! さらばだとっつぁん!」


カスさんはスタタタタと逃げるように走り去っていきました。

誰がとっつぁんだ。


「オ気ヲツケテ~」


多分見つからないだろうけど、頭の隅で応援しておきま~す。

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