第14話

「ねぇねぇ、だったらさ、わたしのやり方だってそんなに間違ってないんじゃないの⁉」

 さっきから輝く瞳で二人を見ていたまりのが口をはさむ。なんのことかわからず京子が見つめた。

「だってさ、役に立ちそうな男の子を見つけて言うこと聞かせるわけでしょ? ならわたしの方法だって似たようなものじゃない」

 わ、言っちゃった、とはなは思ったのだが、京子ははっとした様子でまりのを見つめなおすのだった。

「そうだわ……! まりのの言う通りよ。私たち、共通する目的があったのね⁉」

「でしょ⁉」

 変なところで共感を確かめ合い、立ちあがると握手をしあった。やっぱり根は一緒だったんだ、とはなは納得する。

「ならさ、ならさ、やっぱり見つけなきゃいけないのは偉くなりそうな男の子だよね」

「そうね……でもあんまり賢すぎてもよくないかもしれないわ。私たちの言うことに疑いをはさまない程度に賢い相手ね」

「……なんか難しいね」

「仕方ないわよ。大きな目的をつかみ取るためには、少々難しくったってへこたれてなんていられないもの。まりのだって、難しいからってあきらめるわけじゃないでしょ?」

「当たり前じゃないの!」

 変な友情が二人の間で結びなおされている。それを見ながらみかこはハンカチで目の端を拭っていた。

「うんうん、青春ですわね……」

「…………」

 ひとり輪の中に入っていけないはなは、なんだか自分が仲間外れにされているような気がして、間違っているような気になってきた。

「じゃあさ、やっぱり京子ちゃんみたいに勉強してるだけじゃなくてわたしみたいにかわいくないとよくないよ」

 それを聞いて京子の眉が動いた。なんとはなしに握られた手に力が込められたようにも見える。

「だって相手の男の子に言うこと聞かせるんなら、どうしたってかわいくないとね。地味で目立たない意識もされないような女の子だったら、さっさと違う子のところにいっちゃうもん」

 京子の表情が険しくなる。途端に手を放してまりのを突き放した。

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