第6話
「結局実際に動くのはその人ですもの。京子さんでもまりのさんでも、ご自身のことをご自分でやっていらっしゃるのだから立派ですわ」
「みかこ……」
「そうだよね、わたしだって頑張ってるよね……!」
思わぬ応援に二人は目を潤ませる。
「そうですわ。そしてそうやって身につけた能力を誰かのためにささげればいいのですわ!」
そしてふんぞり返った。その誰かが、誰を指すのかは言わなくても二人には伝わってきた。
「な、なによ、結局お金持ちに使われるだけだって言いたいの⁉」
「ひ、ひどいよみかこちゃん!」
思わず立ち上がってみかこを見下ろす。しかし見下ろされたままでみかこはふんぞり返ったままだった。
「あら、そんなことは言ってませんわ。京子さんにしてもまりのさんにしても、そうやって培ったものをご自分一人で使ってお終い、というわけでもないのでしょう? でしたらどなかたかにささげて使うようになるのは自然なことですわ」
「そ、そうかもしれないけど……みかこに言われるのは納得いかないわ!」
となりでまりのも激しくうなづく。
しかし座ったままのみかこは動じることなく続ける。
「あら、でもまりのさんならとってもかわいらしくなって素敵な殿方と一緒になられたとして、その方だって優秀ならば世の中で活躍されるでしょ? そしてまりのさんはその方の支えをすることによって自分をささげてるじゃないですか」
「え、そうかな?」
なんだかホメられたような気がしてまりのは座った。
「京子さんだって、とっても優秀な人材になったならば引く手あまたに違いませんわ。ならどこへ行っても京子さんの力はその場で発揮されるに違いませんもの。まさかご自分のためにしかその能力を使われないわけではありませんでしょ?」
「そ、そう言われると……」
京子もトーンダウンしてしまい、同じように座る。
隣ではぽりぽりかりんとうをかじっていたはながぽつりとつぶやいた。
「なんだかだまされてない、ふたりとも」
しかしその声は誰にも届いていなかった。
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