ただの無駄な時間同好会
古都 吹佬
1日目 京子の部屋
第1話
「あらやだ、また質素なお茶うけですわね」
「あ、ポテチないやポテチ」
「え~、甘いもののほうがいいよぉ」
わちゃわちゃと三人は騒ぐ。
「なによ、文句あるんならうちでやらなきゃいいでしょ!」
京子は怒鳴ったが誰も耳に入れない。さっさとちゃぶ台を囲んでみな座り込んでしまった。
「またぁ、そんなこと言って本当はうれしいくせにぃ」
「そうだよ。今日は京子の日って決まってるじゃん。ならそのつもりでいてくれたらいいのにさ」
「毎回毎回お茶うけなんて出してられないでしょ!」
「あら、わたくしは平気ですわ」
『お金持ちは言わないで』
みかこの言葉に三人の声が重なる。言われた方は気にした様子もなかった。
「だいたいね、ポテチだなんだって言ってるけど、はなやまりのの家に集まるときにも同じように出してくれるっていうの。うちだけで言ってるんじゃないわよね」
じろりとにらみつけるがふたりも気にした様子はなかった。まりのは天井を見上げて木目を数えだし、はなは小さな皿に盛られたかりんとうを口に放り込んでいた。
「ちょっと、私が行ったときはちゃんとお茶うけ出してくれるんでしょうね」
「このかりんとうおいしいね」
「黒砂糖だね」
まりのも手を伸ばして口にする。
「これ、かりんとうっていうんですのね」
みかこも手を伸ばして、食べずにつまんだままじっとみつめていた。
「なに言ってるのよみかこちゃん、しょっちゅう出てくるじゃない」
「そうでしたかしら」
「そうそう、最初見たとき乾燥した犬のうんこだって騒いでたじゃない」
「あぁ、それは覚えてます! かりとうって犬のうんこみたいなやつでしたわね」
記憶がよみがえったようで目を輝かせた。そしてそのまま口に放り込む。
「甘いですわ」
「そうそう、甘いんだよぉ」
「おいしいよね」
さっきまで文句を言っていたことを忘れて三人で舌鼓を打っていた。
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