トイレ



何か、聞こえる。

こつこつ と、何か、怪しい音が。





「………?」




目を開ける。

薄い水色の扉。壁。予備のトイレットペーパーが転がっている。ホルダーはない。あったはずの場所に、穴が空いている。




「…冷た。」




目を下にやる。服がない。ないというか……ない。

さすがに全裸でトイレに入るようなキチガイではない。でも私は全裸で便座に座っている。




「……ふぁぁ…」




危機感がないが、私は今、とても眠い。体を拘束するようなものもないし、全裸でトイレにぶち込まれているだけだ。


…いや、それがおかしいんだけど。





「…」





耳を澄ます。

いつの間にかこつこつ音は消えている。

罠のような気もするけれど、ここから出ないことには何も始まらない。

どうしてここにいるのか、どうして全裸なのか、私は何も分からない。記憶喪失にでもなっているんだろうか。




「鍵は…」




トイレの扉は、普通に開いた。

鍵はかかっていなかった。


そのかわり




「…………は?」







扉の外は、死体だらけだった。

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