02
夏の大会が近づいて、練習もハードになってきた。
暑さも相まって、流れる汗が止められない。
マネージャーの私ですらこんな状態だから、部員たちはもっと大変なんだろう。
そう思っていると、イケメン竹内くんが水飲み場にやってきた。
「竹内くん、こんなに暑いのに、今日も爽やかだねー」
「いえいえ、先輩こそ、暑い中お疲れ様です」
「竹内くん見てると暑さが和らぐわ」
「そう言ってもらえて光栄です」
なんだ、この模範解答は。
この男、しゃべってもイケメンなのだ。
そりゃ人気があるわけだ。
「3年生は最後の大会ですし、頑張って応援します!」
「偉いねぇ。私も頑張ってサポートするよ!」
竹内くんはさっと顔を洗って水を一口飲むと、じゃあ、と走り去ろうとしてもう一度振り返った。
「そういえば、村田先輩も、夏で引退ですか?」
「私?うん、夏で引退するよ。本音は卒業までマネージャーしたいんだけど、やっぱり受験生だしね。何かと忙しいのよ」
「やっぱり3年生になると学業が大変なんですね」
それじゃ、と、ペコリと頭を下げて、竹内くんは練習へ戻っていった。
駆けていく後ろ姿も、スマートで絵になる。
根っからの男子テニスファンの私は、少しでもテニスに触れたいと男子テニス部のマネージャーになった。
マネージャーなんて響きはいいけれど、要は雑用係で、人知れず苦労していることもたくさんあるのだが、大好きな男子テニスのお手伝いができていることにとてもやりがいを感じていた。
だけどそれも、あと少し。
寂しい気持ちが拭えない。
せっかく可愛い後輩も入ったのに。
なんて。
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