68「帰宅」
冒険者ギルドから出たレダたち三人は、家族が待つ家に戻った。
ギルドのほうはネクセンと彼の師匠ドニー・ウェンが引き受けて在住してくれている。
現在の警戒体制が解かれるまで、任せることにした。
「おかえりなさい、パパ!」
「ただいま、ミナ!」
家に帰るとどっと疲れが襲いかかってきた。
元気な家族の顔を見たからだろうか、張り詰めていた緊張が解けた気がした。
腕の中に飛び込んでくる愛娘を力一杯抱きしめる。
「ご飯食べた? 用意してあるよ?」
「ありがとう。ありがたく、食べさせてもらうよ」
「うん!」
ミナはレダに頬擦りすると、ゆっくり離れる。
「ナオミちゃん、エンジーもおかえりなさい!」
「ただいまなのだ!」
「た、ただいま帰りました。あ、いえ、別に家は別にあるのですが」
元気いっぱいに手をあげるナオミに対して、エンジーは反射でただいまと言ってしまったが少し気恥ずかしくなったようだ。
「ナオミちゃんもご飯用意してあるからたくさん食べてね! エンジーも、さっきちゃんと食べてなかったからパパたちと一緒にしっかりたべなきゃ食べだよ!」
「お腹減ったのだー!」
「い、いただきます」
ふ、とレダは首を傾げる。
ミナのエンジーに対する態度は、家族の誰とも違う。
どこかお姉さんのような振る舞い方をしている気がした。
エンジーは二十歳なのでだいぶ年上なのだが、彼も彼で芯はしっかりしているが普段は人見知りと気弱な面が相まって、ミナの扱いを受け入れているようだった。
「ほら! パパもナオミちゃんも、エンジーも早く早く。うがいと手洗いをして、ご飯食べよう!」
そう言ってミナはエンジーの背を押して家の中に入っていった。
そのあとをレダとナオミが追いかける。
「…………うん?」
どこか違和感があった。
なんだろうか。
気づかない。いや、わからない。
でも違和感がある。
「まあいいか。とにかく食事をとって……みんなと話をしないと」
災厄の獣と戦うことは恐怖がある。
実際見ていないので、まだその恐怖は薄い。
それよりも、愛しい妻たちがレダが勝てるかどうかわからない敵と戦うことに対しての反応の方が怖かった。
「――怒られませんように!」
心配をかけることは決定事項ではあるが、やはり奥さんたちを怒らせたくないレダであった。
〜〜あとがき〜〜
エンジーくんのポジションに関しては追々。
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