35「教会とのコンタクト」③





「いや、あの」

「聞けばあなたは無償で治療していたこともあったとのこと! ならば教会に属し、奉仕すべきではないか!」


 レダが何か言おうとするよりも早く、モリアンが威圧的に言葉を吐き出す。

 確かに、レダは無償で治療をしたことがある。

 だが、それは魔獣の襲撃に悩んでいた村や、治療をしなければ死んでしまう人を「レダが助けたかったから」という行動理由だ。

 治療された相手も、レダの治療を「当たり前」とは思わずに、できる限りの感謝とそのお礼をしてくれた。


 教会に属し、人々のために働くことは素晴らしいと思う。

 聖女ディアンヌも、治療を分け隔てなく行っている。

 だが、それを誰かに強要するのはおかしい。


(ディアンヌさんも治療費をもらっているって言ったら、きっと面倒になるんだろうなぁ)


「モリアン殿、レイニー殿、レダ様に失礼です!」

「聖女殿、お言葉ですが! このような人材を回復ギルドに、辺境伯にいいように利用されていては困るのです!」

「優秀な人材は我々が管理しましょう!」


 ディアンヌがふたりを嗜めるも、言葉は届いていない。

 モリアンとレイニーは、自らたちが言った言葉通り、自分たちこそレダを管理できると豪語している。


 だが、レダは誰にも管理されていない。

 回復ギルドはもちろん、ティーダも、レダを管理していないし、しているつもりはないだろう。

 両者が一番恐れていることは、レダを敵に回すこと。

 もし、レダが両者に愛想を尽かしふらりとどこかに行ってしまったら大変なことになる。それこそ人材の流出だ。


 もちろん、領主ティーダとレダの関係は友人であり良好である。

 治癒士としても、ある程度自由にやらせてもらっている。

 お互いに助け合い、領民を助け、平和に暮らすことがどちらもの望みだ。


 モリアンたちの言うままに、彼らに従ったら使い潰されるのが目に見えている。


(はっきり断るべきなんだけど、ディアンヌさんが板挟みになっていて……さてどうしようかな)


 レダはティーダと契約しているので、教会に入って奉仕します、とは言えない。

 同時に、ミナの母であるディアンヌとふたりの関係がはっきりわからないこともあり、彼女の負担を増やさないように迂闊な発言もできない。


(さて、困ったな)


 レダが悩むと、


「まったく教会の連中には参ったものだのう」


 ドニー・ウェインがレダを庇うように一歩前に出た。






 〜〜あとがき〜〜

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