16「レダとシェイプ」①





「え? ノワールの部下さん?」


 早朝。

 みんなよりも早く起きて、顔を洗っていたレダの元に、ノワールと一緒にフードを被った女性が現れた。

 聞けば、魔王時代のノワールの部下だということで、驚いたのは言うまでもない。


「お初にお目にかかります、レダ・ディクソン殿。私はシェイプと申します。魔王様の忠実な四天王のひとりです」

「……ということは魔族だよね? あ、いや、魔族がどうこういうつもりはないんだよ。ただ、気づかなかったことや、一応、戦っている種族だからね」


 レダは魔族と戦ったことはないが、アムルスでは辺境ということもあって魔族と衝突することがある。

 ティーダに言わせれば、隣国との国境など種族関係なく同じ、らしいが、警戒心ゼロでいられるはずはないだろう。


「まあ、元魔王と交流がある時点でいろいろすごいんだけどね」


(口にはしないけど、このまま四天王が全員集合……なんてことはないよね?)


「でも、これでノワールが元魔王だって証明ができたね」

「……証明、必要であっただろうか?」

「あー、ルナはノワールを自称魔王って言っていたから、ちゃんと証明できた方がいいんじゃないかな、うん」

「……ほう。今度ベッドで盛大に粗相してやろうではないか!」

「いや、元魔王だと証明できない方がよかったのかな?」


 領主のティーダや、町の主要人物はノワールを元魔王とした上で受け入れているが、本格的に元魔王だとわかると問題が出てくる可能性もある。


「ところで、シェイプさんは今後どうするおつもりですか?」

「私は魔王様を探していたのです。見つけた以上、もちろんお世話を」

「ノワールのお世話は俺の娘がちゃんとやってるよ?」

「……できれば私もお手伝いしたいのですが」

「そう言われても……あの、ところで、フードをかぶっているのはなぜですか?」

「――失礼しました。実を言うと、私は魔族として人型ですが、頭部にわかりやすいツノあありますので、隠していたのです」


 そう言ってシェイプがフードを外すと、羊を連想させるツノが生えていた。


「……これは、目立つかな? 隠すことはできますか?」

「一応はできます」

「じゃあ、とりあえず隠してください」

「わかりました」

「あと、こういうことを聞くのは申し訳ないんですが……あなたは魔王の部下の四天王と言いましたが、俺たちと敵対するつもりは?」

「もちろん、ありません。というか、人間と戦うなんて怖くてできません! もしまた戦いなどとなれば、あの恐ろしい勇者が私たちをををっをををををををををををを」


 ガクガクと震え出すシェイプに、レダは呆然とする。


「落ち着くのだ、シェイプよ! ここに勇者ナオミ・ダニエルズはいない! いや、いるが、とりあえず近くにはいない!」


 必死に宥めるノワールの言葉から、


「あー、これはきっとナオミがやりすぎたんだなぁ」


 レダは推測し、困ったような顔をした。






 〜〜あとがき〜〜

 コミック最新7巻が発売いたしました!

 ぜひお読みいただけると嬉しいです! 何卒よろしくお願いいたします!

 双葉社がうがうモンスター様HP・アプリにてコミカライズ最新話もお読みいただけますので、よろしくお願いいたします。

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