14「魔王と四天王と勇者」②
「あわわわわわわわわわわわわわ……なななな、ナオミ・ダニエルズずずずずずずず! なんで、なんで!?」
「おおおおおおおおおおおお、落ち着け、シェイプ! 味方だ! 味方のはずだ! 味方、だよね?」
上司と部下で仲良く股を濡らした状況で、抱き合い震える。
ノワールがすがるようにナオミに声をかけると、彼女はにこりと笑う。
「――え? 魔族は皆殺しなのだ!」
「ぴえっ!」
「ひぇ!」
ナオミから魔力が吹き荒れる。
人間では気づく者は稀だろう。
大きすぎる魔力は、生まれ持って強い魔力を持つ魔族だからこそわかる。
それでも、魔族を超える魔力を持つナオミの底はまるで見えない。
ノワールとシェイプは不用意に穴を覗き込んだら永遠の落ちていく錯覚を受け、二度目の失禁をしながら意識を手放した。
「なーんちゃってなのだ! 魔族がいると思ったので、様子を見にきたのだ! ――あれ?」
冗談でした、と笑うナオミは返事がないことを不思議に思う。
そして、気づいた。
シェイプと彼女に抱きしめられたノワールが揃って気絶している。
「やっちまったのだ! レダに知らせ――たら、怒られてしまうのだ! ……ここは勇者らしく証拠隠滅をするしかないのだ!」
「やめて! やめてください! 勇者様!」
「あ、ノワールが起きたのだ!」
「そりゃね! 本気の殺意が発せられたら慌てて起きるから!」
「口調が変わっているのだぞ?」
「ちょっと待って、魔王としての威厳がどっかいっちゃったから! 待って、待って、戻ってこない。もう少し、そうそう、もう少し。――ふうっ。あまりいたずらはやめてほしい、勇者ナオミよ」
「あ、戻ってきたのである」
調子をなんとか取り戻したノワールは、まず確認だとばかりに恐る恐る尋ねた。
「あー、この者は我が魔王時代の四天王として勇者ナオミにの前に立ち塞がったひとりなのだが、覚えているかな?」
「……………うーん」
「あ、これは知らないパターンだ」
「魔王軍は雑魚ばっかりだったからよく覚えていないのだ!」
満面の笑みでそんなことを言ったナオミに、ノワールは再び意識を飛ばしかけた。
「わ、私が数百年をかけて編成した自慢を魔王軍を、雑魚ばかり? なにそれこわい」
〜〜あとがき〜〜
魔王様と勇者ナオミを少しずつ掘り下げていく予定です。
お付き合いくださいませ!
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