47「ベニーの最後」②






 冒険者ギルド長ベニーは、王都に無事に移送された。

 道中、何度もベニーを口封じしようと貴族や商人から刺客が放たれたが、冒険者たちの活躍によってベニーは傷ひとつなかった。


 王都の冒険者ギルドと王宮から派遣された尋問官によって、ベニーの悪事は全て明らかとなった。

 特別な訓練を受けている尋問官の尋問に抗える者は滅多にいないので、無理はない。

 ベニーは最初から抗うつもりはなく、どうせ自分はもう破滅するのだからできるだけ多くの人間を道連れにしてやると情報を吐き出し続けた。

 それでも、大の大人が泣き叫ぶくらいの痛い目に遭ったのは言うまでもない。


 ベニーの暴露によって、男爵家、子爵家、伯爵家のいくつかが、取りつぶしとなった。不幸中の幸で、取りつぶしは避けた一族も、現当主とその家族はなんらかの罰に処されることとなった。


 商人たちも同じだ。

 名のある商人が何人も捕縛され、家族や使用人たちも同じく尋問を受けた。

 悪事と知っていて加担していた者、見て見ぬふりをしていた者、まるで知らなかった者とそれぞれ罰を受けたり、受けなかったりした。


 私財没収ならまだマシな方で、一族郎党斬首された者たちもいる。

 それだけベニーたちのしたことは罪深かった。


 人身売買の対象となった冒険者たちも、五割ほどしか救出できなかった。

 国外に出てしまった者、既に亡くなっている者、商人だけではなく裏社会に売られてしまい行方がわからなくなってしまった者もいる。

 国と冒険者ギルドは、まだ救出できていない冒険者のために、彼らを見つけた者に金一封を用意することにした。

 もちろん、虚偽の報告をすれば厳しく罰せられることも一緒に伝えられている。


 冒険者の中には、まだ見つからぬ友人のため、仲間のために、捜索活動を行なっていく者たちもいるらしい。




 ――そして、ベニーだが、尋問を受けて疲弊したところを強制労働系を一年ほど受けることとなる。


 これは、悪党たちを裁くのに時間がかかるためだ。

 すべての悪党たちに裁きを下した後、ベニーが処罰されるのだ。

 そのことはベニーにも伝えられており、いつ処刑されるかわからない恐怖に怯えながら厳しい労働刑を務めることとなる。


 彼は、もしかしたらこのまま労働刑だけで済むのではないか、と気を抜いた時、今までの罪を精算するため処刑された。


 最後の最後まで反省を見せず、無様に泣き喚き続けるベニーだった。


 ベニーが処刑されるまでの一年間で、ユーヴィンの街はダンジョンによって大きく盛り上がっていったのだが、そのことを知らされた彼は絶望を浮かべたのは言うまでもない。

 こうして、悪事を働き続けた冒険者ギルド長ベニーの野望は潰えたのだった。






 〜〜あとがき〜〜

次回からまたレダたちに視点が戻ります。


最新コミック6巻が発売されております!

ぜひお読み頂けますと幸いです!

よろしくお願い致します!

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