37「ダンジョン発見」①
「ここがダンジョンの入り口だ」
ユーヴィンから北の森をしばらく進むと、ノワールが止まるように言い、なにもないただ森が広がる空間に視線を向けた。
モンスターが多い、北の森だが、脱落者が出ないままレダたちは問題なく移動できていた。
勇者ナオミ・ダニエルズ、ダークエルフのボンボ・ボンボというこの辺りのモンスターでは太刀打ちできない実力者がいるので、まずモンスターが怯えて寄ってこなかった。
たまに襲いかかってくるモンスターも、ナオミの聖剣に一刀両断され、ボンボの魔法で灰となり、レダの腕の中にいる元魔王で現子猫のノワールから放たれる光線によって胴体に穴を開けられている。
数が出てくると、冒険者たちも対応するが、即死意外ならなんでも治してみせるレダの存在によって負傷もすべて治療されており、万全な体調のままあっという間に目的の場所に辿り着いたのだ。
同行した冒険者の中には、レダによって治療されるまで、この森のモンスターによって再起不能にされてきた者たちも多く含まれているので、これだけあっさり森を進んでいることに動揺を隠せない様子だった。
「あのさ、ノワール。俺にはダンジョンの入り口は見えないんだけど」
「わかっている、レダ。ダンジョンは私の魔術で見えなくしてあるのだ。人の目には見えないだろうが、封じてあるダンジョンから漏れる魔力の揺らめきが、私には見えるので間違いない」
レダの腕からするりと地面に降りたノワールが、緊張しているティーダを一瞥する。
「領主殿、覚悟はいいかね?」
「……準備ではなく、覚悟か……少し怖くはあるが、できている。ノワール殿、頼む」
「任された」
ノワールの小さな口から、レダには聞いたことのない言葉が何節か紡がれていく。そして最後に「にゃーん」と鳴いた。
次の瞬間、まるでカーテンが捲られるように、森の中にダンジョンの入り口が現れた。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
冒険者たちから歓声が上がる。
無理もないだろう。彼らがずっと探していたダンジョンだ。そして、まだ人間が足を踏み込んだことのない、未到達なダンジョンでもあるのだ。
これに興奮しない冒険者はいないだろう。
「これは、すごいね」
レダも関心する。
ダンジョンの入り口は、人ひとりと同じくらいの大きさの岩を重ねたような大きなものだった。
ダンジョン内から漂ってくる濃密な魔力に、レダが身震いしてしまう。
かつてはうだつの上がらない冒険者ではあったが、いくつかのダンジョンに挑んだこともある。しかし、レダの知る、ダンジョンのどれとも違う、目に見えない異質さがある気がした。
「ほら、関心している場合ではない。数百年ぶりに解き放たれたダンジョンの入り口を今か今かと待っている者たちが――来るぞ? さあ、戦いの支度をしたまえ!」
ノワールの今までにない大きな声に、ナオミが戦闘に立ち、レダたち一同は身構えるのだった。
〜〜あとがき〜〜
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