34「レダとローゼス」②
ルナとも挨拶を交わしたローゼスは、他にもヒルデ、ヴァレリー、アストリットという妻がいることを知り驚いていた。
アムルスではみんなが知っていることだが、やはり貴族でもない治癒士に四人の妻がいることは驚きなのだろう。
レダも分不相応であることは自覚しているが、精一杯愛していくことを決めている。
「お互い、いろいろなことがあったようだ」
「そうだね。ローゼスは、これからどうするのかな?」
「そういえば、今後のことは考えていなかったな。もっとも考える余裕がなかったと言うべきだが」
ローゼスは苦笑いした。
手足を失った以上、冒険者としてはもちろんだが、人として生きていくにも大変だ。
実を言うとローゼスは死ぬ覚悟ができていた。それでも、妹分のロロナのことが心配で死ぬに死ねなかった。自分の存在がロロナを縛っている自覚はあったが、自分がいなくなったあとのロロナが心配でたまらなかったのだ。
「あ、じゃあさ、アムルスにおいでよ」
「私たちが、アムルスに?」
「アムルスは住民を募集しているからね。冒険者として活動してもいいし、また別のことをしてもいい。次の何かを探すのに、アムルスはいい場所だよ」
「……そうか。そういう選択肢もあるのか」
最初こそ治療を目的でアムルスを目指していたが、もうその理由は無くなったと勝手に思い込んでいた。
だが、久しい友人と再会し、ここでお別れも寂しい。
なによりも大きな恩ばかり受けて、なにも恩返しができていないのだ。
ローゼスとしては、そんな不義理なままではいられない。
「そうだな。ロロナと相談しなければならないが、きっとあの子ならアムルスに行きたいと言ってくれるだろう」
「俺としても、ローゼスが近くにいてくれれば何かあっても治療ができるから安心だよ」
「ふっ。もう大怪我は懲り懲りだ」
「だよね」
レダとローゼスは笑った。
この街に来てから、ちゃんと笑えたかもしれない。
レダは、大切な恩人を助けることができて本当によかった、と心から安堵した。
〜〜あとがき〜〜
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