20「ダンジョンの存在」②
「いや、待ってくれ! 本当にダンジョンが存在しているというのか!? そもそもそのニャンコはなんなんだ! なぜダンジョンがあるかどうかわかるというんだ!?」
ノワールの爆弾発言に、マールドが悲鳴のような質問をぶつける。
子猫の正体はさておき、ダンジョンに関しての詳細はレダたちも知りたかった。
「私の正体はあとでティーダ・ローデンヴァルト辺境伯に聞くといい。ダンジョンに関してだが、あれは私がかつてゴミ捨て場にしていた」
「――は?」
間の抜けた声を出したのは、マールドだったか、それとも全員だったかもしれない。
「自分の過去の行いを暴露するようで恥ずかしいのだが、かつていろいろな実験をしてね。暴走した魔道人形、力を与えすぎた竜、反抗期になった義理の息子と娘などを封じておくのにちょうどよかったんだ」
懐かしむように目を細めたノワール。
まだ魔王として君臨していた頃、人間との戦いで魔族に犠牲を出さないよう考えて魔道人形を作ってみたが、大暴走した。
幹部たちから叱られ、ちょうど良さげなダンジョンを見つけて実験を繰り返すが暴走は続き、ついにはお手上げ状態になって放置してしまった。
次の取り組んだのは、竜を捕まえて勇者に圧倒できる力を与えようとあれこれ試してみた。すると、魔王を超えかけたところで叛逆の意思を見たので、弱体化させた上で、お仕置きをかねてダンジョンに封印した。
そして、戦災孤児の兄妹を拾い、才能に恵まれていたので育ててみたが、百年ほどで魔王の子供である自分が次の魔王だとのたまい叛逆を企んだので、お仕置きとして軽くボコってダンジョンに閉じ込めた。
そんな感じで、なにかあればダンジョンに放り投げていたせいで、魔窟と化してしまった。
誤って魔族が入っても困るし、人間でも同じだ。万が一、放り投げた物で人間たちが強化されても困る。
悩んだ結果、誰も立ち入れないように封印し、入り口を地中に埋めた。
その後、なんやかんやあって、この地はローデンヴァルト伯爵領になった。
――そして現在、ギルド長指示のもと冒険者たちが血眼になって存在を探している。
「ちょっと待ちなさいよ、まるであんたのものみたいに言ってるけどぉ! 実際、ダンジョンが見つかったら所有権とか、発見者の権利とかそういうのどうなるのよぉ!」
誰もが唖然とする中、ルナがいち早く正気に戻り叫んだ。
ルナの叫びにハッとしたティーダが、疑問に答える。
「所有家は、領地ゆえ我一族となるが、発見者には金一封――どころか、ひと財産与えなければならないだろうな」
「っしゃ! ノワール! 行くわよ! ダンジョンの封印解いたら、ディクソン家は大金持ちよ!」
儲けを確信したルナがガッツポーズをした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます