第2話 笑い声を数える日

楽しそうな甲高い声がする



ここはどこ

真っ暗闇の中

耳をすませて聞いて

いろんな声がする

あの笑い声を数えて

あなたも笑いたいでしょ

さあ自分の居場所を探して

あなたのその耳で


いいえ

私のこの耳は

笑い声を数えるためのものではありません

私の耳は私の耳です

私の好きなようにつかいます


あなた耳に水入ってるんじゃない

しっかりしてよ

ちゃんと聞いてるの

それが仕事なのよ



笑い声が聞こえる

笑いたいんだけど

笑えない日などない方がいいんだけど

笑い続けることなどできないから


私の耳は笑い声を聞きます

時には聞こえないでしょう

それでいい日もあるでしょう

その方がいい日もあるしょう

それではいけない日もあるでしょう


今日は笑い声を数える日


面白くてニヤッと笑った日

近所のおばちゃんの甲高い笑い声の日

人の笑い声がうるさい日

自分の笑い声がうるさい日

笑いたくない日

とにかく爆笑した日

笑っているようで笑っていない日


笑い声だらけの日々を過ごしています

笑い声ってなんでしょうか

笑っている声

ニヤッ

あっはっは

引き笑い

喋りながら笑いがこらえられない


笑い声のない日々はほしくない

笑顔ばかりに気を取られて

声を忘れちゃいけません

あまり大きい声だと迷惑です

笑えない人はいない

笑うのは当たり前

そんなことありません

どうにか笑いを増やすために

これ以上悲しい顔を減らすために


笑い声を数えて

笑い声を聞いて

笑っていたいと笑いたい

たぶんきっと


笑うだけじゃ物足りないから

たぶんきっとと

言うのかも

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