即興で話を書こうぜの会

星成和貴

第1話

 いきなり、話を作って、と突然言われた。元々ブラックだとは思ったいたが、それもここまで来たか。

 さて、愚痴を言っていても仕方ないし、適当に話でも作ってやるか。


 ……


 …………


 ………………


 ダメだ。今日に限って何も出てこない。

 もう、いいや。こんなところ、辞めてやる。そもそも、辞めたって、収入は困らないんだから。


 こんな、1日に24時間勤務、休みは全くの0。過労死ラインを遥かに越えるこんなの、やってられるわけがない。よし、辞めてやる。



「ただいま」


 そんなことを思った矢先、玄関から愛する彩希の声が聞こえた。


「パパ、早くお話してぇ」


 出迎えようと玄関に向かった俺に、後ろからトコトコと小さい足で駆け寄ってくる愛娘。

 二人の笑顔を見た瞬間、この仕事もいいな、と思い直した。

 この、俺の愛する二人の笑顔のためなら、たとえ、1日30時間、1年に400日働いたって構わない。

 さて、夕食の準備の途中で話作って、だなんて言われたもんだから、急いで作らないと。今日は二人の好きなメニューだし。


 うん、やっぱり、こんなに間近で二人の笑顔を見られるなら、主夫になって正解だったな。

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即興で話を書こうぜの会 星成和貴 @Hoshinari

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