第2話 泥酔女と夜の街

定時から少し経った。


残業したいなんて今日ほど思った事はないかもしれない。




別に彼氏が要らないとか欲しいとかあまり考えて無く、そういうのは自然にできると思うし、無理して作るものじゃないと思ってたので、こういう場が頼子は本当に苦手だった。




まぁ、そのせいで結婚出来なかったんだけどな〜なんて考えてたら、心無しか髪型、お化粧に気合が入った菜々香が向こうで手を振っている。



待ち合わせのバルまで菜々香と話してて分かった事は、今日逢う男性の1人から声をかけられてて2人きりはちょっと……ということでこの状況になったらしい。




そんな話を聞いてたら待ち合わせのバルの前に着いた。



女子が好きそうな外装、尚且つ男性も入りやすそうな店だ。


中に入り半個室に通されたらそこには二人男性がもう居た。

席に座り、挨拶も程々でお酒と食事を頼む。


相手の男性2人は歳は20代で1人は完全に菜々香目当てなのが直ぐに分かった。

もう1人はその男性の後輩らしく、ただ付き合いできた感じだが、菜々香を意識してるのが分かる。




この状況、私居るのかしら?なんて考えながら手と口が暇を持て余してるせいか、いつもよりお酒のペースが早くなってしまってた。




お店から出た時は頼子は結構酔っていたが、歳下の子達の前では流石に見せれないと酔ってないフリをして別れたが…


見えなくなった途端に気が緩んだか、酔いが周り少しフラフラして駅に向かってた。



その時ふと後ろから声が……



「大丈夫?」



頼子の目にペットボトルに入った水と綺麗なスラッとした長い指が入ってきた。



「これ、飲んだ方がいいよ?あと……女の人がそんなフラフラしたら変な人に声かけられちゃうよ?」



急にそんな事言われて、頼子は一瞬目が点になって言葉が出なかったが、その瞬間無邪気な表情で頼子を見ながら


「あっ!俺声掛けちゃったから変な人認定になるかな………」と笑って言ってきたので、依子はびっくりした表情も無くなり、ふふっと一緒に笑ってしまった。




頼子の笑った顔を見て大きな口をニッとして、「気をつけてね♪」といってしまった。



その後ろ姿を頼子はぼーっと立って見て

ハッと我に返り、駅へ向かって行った。




その後、駅までの道はフラフラにならずに頼子は帰っていった。














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