藤ちゃんの見える日常

来夢くるむ秋桜こすもす

藤ちゃんの見える日常

第1幕藤ちゃんの見える日常

私は見えちゃうの。

なにが?って?

幽霊や妖怪の姿よ。

物心ついた頃から当たり前に見えていたわ。

私の住む家や通っている小学校にも幽霊さん達はたくさんいるの。

お話しもたくさんしているから仲がいいのよ。

そう言えば私の名前がまだだったわね。

私は藤玲奈(ふじれいな)12歳

今年度で学校も卒業しちゃうから

小学校で仲良くなったクラスメイトは

もちろん、幽霊さん達とも離れ離れになるから寂しいわ。

みんなとよくお喋りして遊んだものよ。

そんな一人で自己紹介がてらのナレーションをしていたら、学校に到着。

今日もみんなと仲良くしようかしら。

          *

小学校の校門を朝通ると体育館の側から幽霊の、まこと君が手を振って挨拶してくれるの。だから私も手を振って挨拶するのよ。手を振って挨拶しないと最近じゃ怒られちゃうの。だからクラスメイトの友達と登校時に道で会って一緒に登校した朝も忘れずに、まこと君に挨拶するの。だけど帰りはまこと君は居ないけどウチまで来て、夜に「今朝はいい挨拶だったよ」って褒めてくれるの。

          *

教室に着いた。友達にも挨拶しよう。

玲奈「涼子ちゃん、おはよう!」

涼子「玲奈ちゃんおはよう!今日もまこと君に挨拶した?」

玲奈「うん!ちゃんと手も降って挨拶した……あっ、落ち武者さんおはよう」

涼子「えっ?今、落ち武者さんいるの?」

玲奈「挨拶を返したら消えちゃった」

涼子「いつものパターンかーハハッ」

玲奈「落ち武者さんは引っ込み思案だからね」

クラスの男子「玲奈!また朝から幽霊と絡んでいるのか!気持ちわりー」

涼子「なによ!毎日毎日、玲奈を気味悪がって!玲奈の特殊能力よ。肯定するべきよ!」

クラスの女子「私も肯定派よ。6年間一緒に居るんだし少しぐらいは玲奈と仲良くしたら?」

クラスの男子「ハイハイ分かったよ」

玲奈「みんないつもありがとう」

          ・

私の見える日常はだいたいこうやって始まって行くの

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