これが世

勝利だギューちゃん

第1話

男は列車に乗っていた。


♪レールがつなぐのは~


ある歌詞の一節が、頭をよぎる。

夢か、愛か、それとも出会いか・・・


「まあ。俺には関係ないことだがな・・・」


男の名は。虎辺留矢(とらべ るや)

名前の通りに、気ままな旅生活をしている。


そして、その旅行記を本にして、生活をしている。

ベストセラーでまではいなかにが、そこそこは入るので、ついていると言える。


「次は、○○駅です。」

車内アナウンスが流れる。

生声ではなく、テープだ。


「こんな田舎でもテープか・・・風情がない」

男は、落胆していた。


「さてと・・・下りるか」

男は、列車を下りて、外へ出た。


男は確認をした。

車両は国鉄時代に製造されたキハ58.

急行用に製造された。


色でごまかしているが、かなり年齢は高い。


「でも、風情はあるな・・・」

男は納得した。


そこで、気がついた。

雨が降っていた。

かなりの、土砂降りだ。


男は傘を、広げようとした。


すると、若い女性が困っていた。

男は声をかけた。


「すいません。雨でお困りですか?」

女は不信感をあらわにした顔をしたが、すぐに男が無害とわかったようだ。


「ええ。傘を忘れてきてしまい・・・」

男は自分の持っていた傘を差し出した。


「よろしければ、使って下さい」

「えっ・・・でも・・・」

「大丈夫です。僕ならもうひとつ持ってますから」


男はそれだけいうと、鞄の中から折りたたみ傘をだし、広げて去っていた。


漫画やドラマなら、恋に発展するのだが、そんな事は現実にはない。

ていうか、あっては困る。


もう、この二人が会う事は、ないだろう。

それが、世だ。

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これが世 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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