第三シリーズ

001 後日談?

 今日も今日とて、金髪少女リナは援助交際にて春を売っていた。

 待ち合わせに来たおじさんと共にホテルへと並んで歩いていたのだが、今日は相手の様子がおかしかった。不審というわけではなく、どちらかというと、落ち込んでいるように見えた。

「ちょっとおじさんどうしたの~ほらほら女子高生だよ~」

 退学してるけどね、という言葉を心の中だけで呟き、私服化している制服を見せるようにして男の視界に入る。けれども軽く苦笑しただけで、リナには何でもないように振る舞おうとしていた。

「ごめんごめん、実はこの前仕事に失敗してね……」

 愚痴コース確定だが、このまま暗い空気でホテルに入るよりはましか、とリナは思い直して、そのまま男の話に聞き入った。

「ある男を取り立て、いや業務の関係で人探しの仕事をすることもあってね。手掛かりを見つけて他の社員達と追いかけたんだけど、逃げられちゃってさ……」

「……ん?」

 どこかで聞いたような話だと、リナは不思議そうに首を傾げた。

「というのも、班ごとに分かれて追いかけようとしたのに、誰かが駐車場中の車のタイヤをパンクさせちゃってさ。おかげで逃げられたから上から大目玉。流石にいたずらだったから修理代は経費で落ちたけど、勤務評定がもうがたがたで……」

「……あ」

 そこでようやく思い至った。どうやら相手は以前、リナが気まぐれで邪魔した闇金業者の一人らしい。思わず謝りそうになるが、流石に説明できないので、どうにか堪える。

「他の仕事に影響でるからって、部長が気を利かせて関係社員に風俗斡旋してくれたんだよね、今回は」

「あ~なるほど~」

 どうりで強めに頼み込まれたわけだ、とリナは内心納得した。

 昔風俗でぼったくりにあった奴がいるから相手してやってくれ、って常連の一人に頼まれて来たのだが、まさかそこで働いているとは思わなかったのだ。

「世界って狭いな~……」

「何か言った?」

「いえいえなにも~」

 口は禍の元、と唇を引き締めるリナ。

 ほんの気まぐれに巻き込んでしまった分、今日はサービスしとこうと心の中で誓い、胸が当たるように腕を組んだ。

「せっ、積極的だけどお金は……」

「だいじょうぶだいじょうぶ、さっき結構な額貰ってますから~」

 一回の代金が高いとはいえ、いつも通りとは言わず、リナは気分的にサービスするように男をホテルへと連れ込んだ。




 それとほぼ同時刻、人気のない路地裏を彷徨う影があった。

 その瞳はネオン光に包まれた隣の通りを見つめ、あるものを探していた。

「どっ、どのホテルに行こっか?」

「どこでもいい、っての……」

 視界に映ったのは二人の男女、自信なさげな中年間際のスーツ男と、明らかに未成年に見える茶髪プリンのギャル。携帯をいじりながら男についていく女を、影は静かに見つめていた。

 そして……

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