犯罪プロファイリング

「お助けください転生・転移者様!テレポート辻斬り魔が現れたのです!」


 テレポート辻斬り魔とはさすが異世界、とんでもないものが現れる。

 テレポートで移動されては足跡などから追跡調査を行うのは難しいだろう。


「ふむ……流石にこれは魔法やスキルなどで解決するべき領分なのでは?」


 いやいや大丈夫、こんな時でも役立つ現代知識があるのだ。犯罪プロファイリングというものがある。


 ・サークル仮説

 サークル仮説とは「ある一連の犯行があった場合、その犯行のうち、もっとも離れた二点を結んだ円のなかに犯人の拠点がある」というものである。

 自宅から離れると土地勘を失ってしまうからだ。

 この仮説を用いて犯罪の場所から犯人の居住地を絞り込むことができる。


 ・コールサック(暗黒星雲)効果

 さらに犯罪者の行動パターンには面白い特性がある。それは「犯人は居住地のすぐそばでは犯罪は行わず、離れるほど犯罪を行いやすくなる」というものだ。

 家の近くで犯罪を起こせば、顔見知りに犯行を見られてしまう可能性があるからである。


 ・最適距離

 遠くへ行くほど土地勘がなくなるため犯行を行わない。自宅の近くでは犯行を行わない。この二つの説を統合すると、

 犯行が起きやすい場所は犯人の居住地を中心にし、そこから一定のドーナツ状の円環になる。

 と考えられる。


 カナダの犯罪学者キム・ロスモはバンクーバーの連続強姦犯人の79件の犯行を分析し、この現象を確認した。


 さらにこの最適距離から次の犯行地点を予測することができる。犯行現場をプロットし、ドーナツの範囲の中でまだ犯行が行われていない地点が、次の現場である可能性が高い。一度事件が起きた現場は警戒されているからだ。


「ふむ……ではその次の犯行現場と思わしき場所に張り込んでおくとしよう。」


 次の日、犯人はチートスキル『高速拘束』で捕まり、円の中心の拠点からはテレポート装置と凶器が見つかった。これにて一件落着。


 知っててよかった現代知識。


 参考文献 犯罪捜査の心理学 プロファイリングで犯人に迫る

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