その夢は敵の如く

小さな私には夢があった


その小さな夢は

周りのひとたちに

持て囃されて

大きく 大きく 成長した


やがて私が大きくなると

小さな頃には手が届きそうに見えたその夢が

大きく 大きく 立ちはだかった


あの夢のてっぺんに登らなきゃ


強迫観念のように

毎日毎日

毎日毎日


夢ってなんだったろう

昔は

私に力をくれるものだったような


周りの人達は一斉に手のひらを返して

無理だよ、お前には

口々に言って

大きくなった私を叩きのめす


捨てられたなら、

どんなに楽になれるだろう

あんなに大きくなってしまった夢

私に毎日暗い影を落とす夢

あの夢のせいでお日様も見えない


歩いても歩いても

入口にすらたどり着けぬ夢


だれかもうあの夢を

殺してしまってくれないか

憧れもなにもかも感じぬように

目の前からも心の中からも

消してしまって欲しい

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