不幸比べ

その本の中の主人公は

ボロボロの酷い目にあって生きてきた

誰にも愛されず

虐げられて


その本を閉じたら

私は一体

何が辛くて

こんなにひん曲がってしまったんだろうと

思った


愛されてこなかったわけじゃない

友達が皆無だったわけじゃない

褒められなかったわけじゃない

乱暴されてきたわけじゃない


それでもこんなに

大きな絶望を抱いて

生きている


あたたかな思い出は

振り返ればたくさん持っているのに

私の道の先は真っ暗で

寒くて石だらけで

私は今も 肩で息をしている


私は甘いのだろうか

私は大袈裟なのだろうか

私には絶望する資格もないんじゃないだろうか


閉じた本の主人公が

嗤っているような気がした


……それでも


私はつらい

私はこの世界が嫌いだ

私の息切れは止まらない

私の道の先は明るくならない

何度だって何度だって

這い上がろうとしてはどん底へ落ちた

もう上ろうという気力もない


…それでいいんじゃないだろうか

自分より辛い目にあった人がいようと

私が今傷だらけで 寒くて 疲れ果てて

絶望していることは 事実なんだ

比べたって意味は無い

痛みは痛みに 違いない


もっと辛い他人と比べて

自分は辛くないと思い込むのは

まるで麻薬のように 危ないことだと思う

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます