微笑みを数える日ーキミとの時間ー
青野ハル
第1話私の命(凛視点)
私には、命の期限がある。
直接言われたわけではないけど、お医者さんとお母さんが話しているところを偶然通りかかって、聞いちゃったんだ。
「もって、3年です」
っていう声を。
その時、看護師さんがついてなくて本当によかった。
その言葉を聞いた時の私の表情は、酷いものだったと思うから。
――なんで私なの?
――どうして死なないといけないの?
――死んだら、どうなるの??
こんなことは、もう考え飽きている。
それでも。病院の広場のベンチに座り、空を流れる雲を眺めていると、不意に考えてしまう。
その言葉を聞いたのは、2年半前。
だから、私に残された時間は多くない。
分かってる。
もってあと半年。6ヶ月。
そのタイムリミットは、いつも私の心をぎゅっと締め付けているんだ。
ねえ、神様? 14歳まですらも生きられないかもしれない私が、生きる意味ってなんですか? なんのために、私は生まれてきたんですか??
誰か、誰か。教えてよ·····。
お母さん達は、私の事、諦めていると思う。
小さい頃から悔いのないように、大事に過ごしてきたから。
アルバム用の写真は広場で沢山とった。
症状が軽い時に家族全員で、遊園地も行った。学校にも1週間行けた。
お母さんにとって、私はいついなくなるか分からない猫のようなもの。
いつかはいなくなって当たり前。
いなくなることを想定して、私と過ごしている。
でもね? 私には、悔いなんて数え切れないほどあるよ?
好きな時に、好きなだけどこかに行きたい。
家に、「ただいま」って帰るのが当たり前、っていう生活が欲しい。
私には、それが許されていないの??
神様。もし、私の願いを聞き届けてくださるのならば。
私を、心から必要としてくれる人と出会いたいです。
私と微笑んで、一緒にいてくれる人を。
聞きどどけて、頂けますか·····?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます