第5話◆もう一度会いたいな
◆もう一度会いたいな
河原で食べたお肉は、すごく美味しかった。
それに野外で自然に触れながら食べると2倍は美味しく感じる。
川から吹いて来る風も涼しいし、草木の匂いもほのかに感じられ、それがまたスパイスのように肉のうまさを引き出す。
うまく言えないけど、コンロの煙や肉とか野菜が焼ける匂いなんかも堪らない。
更に言えば、自分が料理してるってところもいいんだと思う。
そして気が付けば俺は、次の週末にキャンプに行く計画を立て始めていた。
それに河原で親切にしてくれたお姉さんにも、どこかでまた会えるような気がしていたのだ。
連絡先を交換しておけばよかったと思ったけど、そもそもタレと着火剤を借りた(正しくはもらった)だけだし、これで連絡先交換してくださいとは言えないだろう。
すっかり頭の中がキャンプモードになった俺は、翌日の仕事帰りに駅ビルにある大きな本屋に寄って、キャンプ関連の本を2冊買って来た。
一冊はキャンプ場ガイドでもう一冊はキャンプの入門書だ。
入門書には、いろいろなキャンプ道具が載っていた。
おっ このテントうちのと同じやつじゃん。 はぇーー 俺は、結構なその価格に驚く。
対水圧・・・ ああ、水の浸透性のことかな・・ テントで雨漏りしたら最悪だしなー。
おぉっ この焚火台カッコイイなー。
ページをめくるごとに道具の魅力の虜になって行く。
ダメだ。 これは見るだけ欲しくなって来る。 俺はいったん本を閉じた。
まずは、経験を積むことからだよな。
道具はそれから実際に使いやすそうなものを選んで買えばいい。
それに、親父が使ってたのもあるし・・・
次の日から俺は入門書を片手に、週末のキャンプに持って行くものを揃えて行くことにした。
テントはクルマに積んである。 コンロもある。 使い込んだ焚火台も積んであった。
うん? 焚火するのに薪とかはどうするんだろう。 スーパーじゃ売ってないし・・
まさか、山に行って木を切り倒すとか? まあ、それはないよな~
なにしろ大人になってからキャンプをするのが初めてなので、分からないことがたくさんある。
そう、初心者なんだから気負わずに、取り敢えず作って食べて寝られれば良しでいいじゃん。
そうなると、まずは夕食のメニューからだな。 どうせ一人だし、最初は簡単で失敗しないものがいい。
米を炊いて、カレーは小中学生のキャンプの定番だ。 これは、ほぼ失敗は無いだろう。
ただ、量を考えると一人飯には向いていない。
う~ん。 バーベキューはこの間やったし・・・
そうだ! パスタはどうだ!! 麺を茹でて、缶詰のミートソースをからめればOKじゃん。
あとはサラダと茹で卵とスープなんてどうだろう。
うん、うん。 いい感じじゃね? これなら初心者でもハードルが高くないし。
こうして晩飯のメニューも決まり、週末はいよいよ初キャンプに出発となったのだが・・・
第6話「再開」に続く
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