詩をヨミ感想を書くヨム企画・掲示板part.2

忠臣蔵

世界で一番幸せなにおいby青瓢箪さん

 ええ匂い

 赤子は ホンマにええ匂い


 ウチは あんたの頭に 鼻を当てて

 思いっきり その匂いを吸い込む


 ああ なんて

 ええ匂いなんやろう


 ペコちゃんのキャンディのような

 ホットケーキの生地のような


 めちゃめちゃ 甘くて 幸せな

 胸がふくらんで いっぱいになる匂い


 不思議やな


 おなかの中から 出てきたときから

 あんたの身体は そんな匂い



 あんたが どんなに泣きわめこうが

 乳首を 絶対 離さんとしようが


 始終 あんたを抱っこして

 ヘロヘロの ヘトヘトに 疲れても


 あんたの その においだけで


 ウチは もう

 どうでもよくなる

 幸せで たまらなくなる


 どんだけすごい

 フェロモンなんやろう




 ウチは これから永遠に


 あんたに どうしようもなく

 メロメロで


 尽くす女になるんやな

 ウザい女になるんやな


 あんたが 将来 大人になって

 女の子に 相手にされなくても


 とんでもなく

 イケてない男になろうとも


 ウチだけは

 あんたを 王子様やと

 思ったるさかい


 最後まで

 味方で おったるさかい


 安心して

 大きくおなり

 はよう 大きくおなり




 世界で 一番

 幸せな匂いのするあんたへ

(引用ここまで:https://kakuyomu.jp/works/1177354054885035104/episodes/1177354054885035106


 一読して「前略プロフィール」、さらにはある種の日活ロマンポルノを連想する作品でした(勿論いい意味で)。

 それなりの強度で提示される卑俗な口語の矛先を、尋常であれば性愛に向かうところを母性につなげています。

 結果、ベタなメッセージをベタに閉じることなく、ひらかれたまま読み手へ届けることに成功していると思いました。

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