三十秒くらい遅刻じゃにゃくにゃくにゃい?
エルラルの後を追って、通学路を走る。走る。走る。
ちょっとした坂道も走る。
全力疾走にゃ!
朝からちょっと慌ただしいけど、これがニャアにとっての一日の始まり。
「にゃー、目覚ましが鳴ってたら絶対に起きれたにゃ!」
「とか言って、目覚まし消して二度寝してたんでしょ?」
「ギクリ」
ちょっとした軽口を挟みながらも、ニャアたちは必死に走った。
遅刻はもちろんいけにゃいことだけど、それ以上にどうしても遅れたくにゃい理由があるからにゃ。
それは……
「やったにゃ! 滑り込みセーフだにゃ!」
「残念だが三十秒ほどアウトだ」
「にゃぬっ」
「必死に走ってきたところ悪いが、風紀委員として見逃すわけにはいかない」
校門の前に、口煩い風紀委員長が立っていた!
「失点ポイントをつけさせてもらうぞ。マオ、エルラル」
「ロラン先輩……!」
彼は風紀委員長のロラン・オーデル先輩。緑のネクタイが示すのは三年生。
藍色の短髪に切れ長で紫紺の瞳、顔を見ただけで分かる真面目人間で、まさに風紀委員って感じかにゃ?
イケメンだけどその真面目すぎるところが、堅苦しいというかつまらにゃいというか……「くっ、殺せっ!」が似合いそうにゃ男子ナンバーワンにゃ!
ついでに頭に生えた触角みたいにゃアホ毛がちょっと面白ポイントかにゃ? 真面目にゃ先輩には良いアクセントだに。
「たった三十秒じゃないの! まだ門も閉まってないんだし、見逃しなさいよ!」
「そーにゃそーにゃ!」
強気に反論していくエルラルに、ニャアも便乗する。
遅刻したのは事実だし、完全にニャアたちが……いや、主にニャアが悪いんだけど、三十秒は許して欲しいところだに。
「エルラル、マオ……学生たるもの、校則を守るのは義務だ。聞き分けのないことを言うな」
だけどロランはもちろん、そんな暴論を許せる堅物じゃにゃい。
しかも「それから先輩には敬語をだな……」にゃんて、説教を始める体勢だにゃ!
「うっさいわね! いいからそこ退きなさいよ」
「エルラル、自分は責任ある風紀委員の立場から物を申しているんだ。違反者は誰一人見逃すつもりはない」
「はあ? だからまだセーフだって言ってんのよ!」
おっと、このまま二人が口論を始めちゃったから、ちょっと解説を挟もうかにゃ?
さっきロランが言ってた失点ポイントについて!
これをつけられたくにゃいから、ニャアたちは必死に走っていたんだよね。
にゃにゃにゃ、にゃんと! 五点溜まるごとに罰掃除が命じられ、三十点で厳重注意+保護者呼んでの三者面談。五十点もあれば退学にゃ!!
このポイントは、今みたいに遅刻や宿題を忘れたりしただけでついちゃうから気を抜いたらあっという間に退学に追い込まれる……そんにゃ悪魔のシステムにゃんだに。
やばくにゃい? やばくにゃい?
こんにゃシステム普通にゃいよね!
「……ォ、マオ! 聞いているのか!?」
ありゃ? いつの間にか話がニャアに……
「にゃにゃ? 三十秒くらい遅刻じゃにゃくにゃくにゃい?」
「お前なぁ……!」
多分絶対とっくに話題が変わって、もうこんにゃ話じゃにゃいんだろうね!
ロランが青筋を浮かべてプルプルしだしちゃった。ついでに頭の触角も
「ギリギリセーフだにゃ。見逃して欲しいにゃ」
それでも懲りずに、ロランを煽っていると……
「貴様ら、朝から何を騒いでいる」
ロランの背後から、低く威厳のある声が……
そう、校門から新たな人物が出てきてしまったのにゃ!
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