にゃんにゃん☆メモリアル

ピギョの人

五月 ーキャラ紹介編ー

朝は美少女に起こされるにゃ

 おいらは猫である。名前はまだにゃい。

 どこで生まれたかとんと見当がつかぬ。何でも医者に取り出されてニャーニャー笑っていたと聞き及んでいる。その人が、生まれて初めて見た人間だ。しかもあとで聞くと、その医者はとびっきりのイケメンだったとか。


 つまり、ニャアのイケメン好きは生まれつきのものにゃのだ。


 ………………

 …………

 ……


 ジリリリリリリリ! 


 朝、八時。


 けたたましい目覚まし時計の音に、ニャアの夢心地は強制終了を告げられた。

 このまま起きて、顔洗って歯を磨いて、朝ごはん食べてお着替えして学校へ行く……


 にゃーんて、シミュレーションを脳内でしにゃがら二度寝を決め込む。


「むにゃむにゃ、後五分……いや、十分」


 ほら、あるよね? 起きて色々済ませたつもりが、実は寝てたみたいにゃやつ! 

 ……え、にゃい? 


 ともかく、ニャアは布団にくるまって春眠暁を覚えず! 

 欲望に従ってウトウトするにゃ。


 二度寝好きにゃら分かると思うけど、この起きにゃきゃいけにゃい時に寝るという背徳感がたまらにゃいというか、眠いもんは眠いんだから仕方にゃいだろ!! っていう開き直りというか……


 にゃんで二度寝ってこんにゃに気持ち良いんだろうね? 



 ── ピンポ〜ン



 何か聞こえた気がするけど無視無視。

 まだ目覚まし鳴ってにゃいし、大丈夫だにゃ。

 寝かせて、後十分……後十分……



 ── ピンポンピンポ〜ン



 むにゃぁ……あとちょっと、先っぽだけ先っぽだけ……



 ── ピンポンピンポンピンポン!! ダンッダンダンダンッ!! 


 鬼のようなチャイム連打と、ノック音。

 そして……


「マオォオオォオオオォオオオオ!!!! 起きなさいっ! 何時だと思ってんのよっ!」

「はは、はいにゃ!! 起きますにゃ!?」


 一軒家の二階の部屋にまで届く怒号で、ニャアは慌てて飛び起きる。

 時計を確認すると……


「げっ、八時四十分……!?」

「マオッ!!」

「すぐ行くにゃぁっ!」


 窓を開けて、二階から玄関前にいる人間目覚まし── エルラルに声を掛ける。

 今にも中指が立ちそうなほどキレ散らかしている彼女だけど、ニャアの姿を確認するとフンって待つ体制に入った。


「三分で支度しなさい」


 これは四十秒じゃにゃいだけ慈悲!? 


 これ以上エルラルを怒らせないために、ニャアは急ピッチで支度を開始した。

 顔を洗って、歯を磨いて、朝ごはんは食べる余裕にゃんてにゃいからイケメンとコーナーで遭遇するための食パンを用意。最後に制服に袖を通して、支度完了! 


 時計を見れば、アレから5分ちょい。

 ……う、うん、セーフかにゃ! 


 食パンを咥えて、いざ玄関へ! 

 でも、その前に姿見に全身を映して最終チェックをする。


 スカートの長さよし。

 リボンの角度よし。

 前髪よし。

 そして、猫耳パーカーもよし! 


 ローファーを履いて、元気よくドアを開け放つ。


「へふはふ、ほはほー!! (エルラル、おはよー!!)」


 そこにいたのは、ニャアと同じ赤いリボンの制服を着た金髪碧眼の美少女J Kだった。


「遅いのよ!!!」


 2分オーバーしたから、当然のように怒ってくる。

 このサラサラストレートにゃ金髪に、エメラルドグリーンの瞳を持った彼女はエルラル・ティネット。

 街を歩けば百人中特殊性癖の一人を除いて九十九人が振り返るような、美少女だにゃ。


 ……黙っていれば。


「アンタなんて置いてさっさと行こうか悩んじゃったじゃない」


 にゃんてツンデレっぽいセリフを言うし、女の子らしい見た目をしているエルラルだけど、運動神経抜群で漢っぽいとこもあるから、せっかくの美少女にゃのに男より女の子にモテるタイプ。


 彼女とは、四月に入学した私立クレテリア学園で同じクラスににゃり、家が偶然お隣って判明してからずっとお友達!

 快活にゃ彼女と一緒にいると毎日明るく楽しい気分ににゃれるし、こうして寝坊をしたニャアを起こしに来てくれるしで、もう秒で大好きにゃ存在ににゃっていた。


 ……え? 乙女ゲーム風小説にゃのにいきにゃり女の子が出るってどういうことにゃ?

 早くイケメンを出せ?

 まあまあ、待つにゃ待つにゃ。

 これは乙女ゲーム小説だからにゃ! 乙女ゲームではにゃいのだ。つまり可愛い女の子がいたって良いじゃにゃい! ってこと!

 面食いのニャアはイケメンはもちろんのこと、美少女だって守備範囲内ッ!


 なにより朝から美少女に起こされるのは、男でも女でも嬉しいイベントだに? 


 ……まあ、もっと優しければ。


「何ボーっとしてんのよ、マオ。早く行かないと遅刻するわよ?」


 そう言い捨てて走り出すエルラル。

 時刻は八時四十八分。

 始業時間は九時ジャスト。

 この現実に、エルラルのちょい怒顔を堪能していたニャアも現実に帰らざるおえにゃい。


「待つにゃエルラル──!」


 わき目も振らないエルラルの後を追って、ニャアも家から十五分先の学校へ急いだ。

 イケメンと遭遇している場合じゃにゃいから、食パンは手に持ち替える。


 ……まだ、走れば間に合うはずにゃ! 

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