第28話【愛とはなんぞや?】

「まず始めにその男爵令嬢とお前は愛し合っているのか?」

「愛し合っているのか? 勿論愛し合っていますよ」

「そうか、 愛しているのはお前だけだと私は思うぞ」

「何ですって!? 私達の愛を侮辱するのですか!?」


立ち上がりナスに詰め寄るピーマン。


「止まれッ!!」


一喝するナス、 ピーマンはビクッ、 と立ち止まる。


「良かったなピーマン

あと半歩先に出ていたら近衛に取り押さえられていたぞ」

「近衛・・・?」


周囲を見渡すピーマン、 良く見ると近衛の兵士が隠れていた。


「!!」

「まぁとりあえず落ち着け

その男爵令嬢がお前を愛していないと言う事を論理的に説明しよう」

「愛に論理も糞も無い!!」

「だから落ち着けと・・・近衛に取り押さえられたいのか?」

「くっ・・・・・」


歯を食いしばるピーマン。


「・・・それじゃあ始めるぞ

まず始めに、 男爵令嬢はお前に婚約者がいると言う事を知っているのか?」

「知っています」

「婚約者がいる男に愛を囁くって人間として駄目だろ」

「何でですか!?」

「社会的に問題有りだ

お前を真に愛するのならばそんな事はしない、 お前の迷惑になるからな

お前の妃になって贅沢がしたいだけじゃないのか?

それかお前が勝手に向こうも愛していると思っているだけじゃないのか?」

「そんな事は有りません!! 彼女は!!」


とそこまで言いかけて止めた。

最初にミンチと婚約破棄をしてカラシナと結婚した時には

カラシナは贅沢三昧をしなかった、 その事を喋るのは不味いと判断した。


「彼女は・・・何だ?」

「いえ・・・彼女の事は良く知っています」

「その男爵令嬢と会ってどの位だ?」

「・・・3年です」

「3年ねぇ・・・」

「3年彼女を見て来て分かります、 彼女は」

「待った、 3年? 3年ずっとその男爵令嬢を見て来たのか?」

「そうです」

「何故だ?」

「何故?」

「お前は一介の男爵令嬢に何故3年も一緒に居たんだ?

最初から一目惚れだったのか?」

「・・・そうですね」

「ふむ・・・何らかの魔法、 魅了魔法が使われている可能性も考慮しなくてはならないな」


顎に手を当てるナス。


「私はまともです!!」

「どうだかな、 いずれにせよお前には診察を受けて貰おうか」


近衛に両脇を掴まれて退出させられるピーマン。


「父上? 父上ッー!?」

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