第18話【ピーマンは馬鹿である】

王立学院に入学して一年が経った頃に戻ったピーマン。

長期休暇を利用して実家である王城に戻って来た。


「兄上? 如何なされたのですか?」


王城でパプリカと出会うピーマン。


「少し調べ物だ」

「調べ物? 珍しい言って下されば送って差し上げるのに」

「待ちきれないのでな」

「? そうですか」


首をかしげるパプリカ。


「それでその調べ物とは?」

「俺の婚約者候補の情報だ」

「はい? 婚約者候補?」

「子供の頃に婚約者選びで名簿を渡されたんだ

その名簿を見たいと思ってな」

「何故?」

「・・・・・少し気になる事が有ってな・・・」


ローにカラシナを取られたのが未だに根に持っているピーマンは

婚約者選びの所にまた戻されても良い様に婚約者候補の情報収集を始めるのだった。

今回のやり直しを蔑ろにするつもりは無いが

次回に続くような立ち回りをしようと試みている訳だ。


「何の為にですか?」

「良いじゃないか何でも」

「いえ、 そうも言っていられないのですよ兄上

最近ヴィーガン教国がこのベジタブル王国を狙っているのです

兄上に取っては初耳でしょうが」

「初耳・・・でも無いか」


以前のやり直しでヴィーガン教国がベジタブル王国に侵攻して来たので

その事はしっているピーマン。


「貴様何者だ!!」


剣を抜くパプリカ。


「な、 何だ急に!?」

「兄上が国家情勢なんて物を知り得る筈が無い!!」

「国家情勢? 何だそれは」

「国家情勢と言う言葉の意味を知らない?・・・・・兄上、 疑って申し訳ございません」


剣を収まるパプリカ。


「相変わらずお前は変な言動と行動を取るな

お前の奇行は何時もの事だし大目に見るが・・・」

「奇行・・・ですか?」

「あぁ、 ナイフとフォークを態々外側から使ったりとか

七面倒な事をするからな」

「それはマナーと言うんですが・・・」

「マナーって何だよ、 じゃあ俺は行くから・・・」


スタスタと歩き去るピーマン。


「・・・・・ん? もしや・・・」





その後、 ピーマンは逮捕された。

ヴィーガン強国と内通していた婚約者候補と通じていると疑われたのだ

国家情勢と言う単語すら知らないのにヴィーガン教国が

ベジタブル王国を狙っていると言う事実を知っていたのだ。

ピーマンの無能さを知っていた周囲の人間は

あぁ、 やっぱりと相手にしなかった。


【国家反逆容疑END】

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る