第16話【リリー】

今回飛ばされたのは子供の頃だった。

廊下で何か書類を持ちながら歩いている所だった。


「・・・・・これは・・・」


自分の部屋に帰って書類を見る。


「やはりそうか」


書類にはミンチの名や他の名も有った。

これは婚約者を決める際の名簿。

前回、 子供の頃に戻った際にミンチでは無く

ニウ侯爵令嬢を選んだ事により偉い目に遭ってしまった。


「・・・・・今回はまた別な奴を選ぶか・・・」


今回も別な女性を婚約相手に選ぶつもりの様だ。

しかし前情報がまるでないので甲乙つけ難い。

とりあえずロー伯爵令嬢を選ぶ事にした。





早々に婚約破棄をしたかったピーマンだったが

ロー伯爵令嬢はかなり活発な女性だった、 積極的に舞踏会や茶会を開き

ピーマンとも接点を持とうと試みた。

ニウは勿論、 ミンチよりも多い頻度で接し、 かなり親密な関係になっていた。

とはいえ男女間の間柄と言うよりは友情の様な感覚だった。

恋愛感情にまでいかないが大切な親友と言う感覚だった。

そこで有る日、 ピーマンはローにこんな事を言ってみた。


「もしも自分に好きな人が出来たら婚約を破棄してくれるか?」と


ローは答えた。


「勿論ですよ、 但し私にも好きな人が出来たら婚約を破棄して下さい」


彼等は互いに別れたがっていたのだ。

ミンチとは心が通じ合わなかったが彼等は心が通じ合っていた。

何でも話せる間柄になっていたのだった。

そして王立学院に入学しカラシナと出会った。

ローにもカラシナの事を伝えた。


「よろしくカラシナ、 私の頃はローで良いわよ」

「よ、 よろしくロー・・・」


少し活発なローと少し弱気なカラシナ。

対照的だったが相性がとても良かった

二人でショッピングに行ったり、 女性だけでの会話。

更にカラシナをいじめている生徒を調べ上げて断罪すると言う事もしたのだった。

ピーマンはミンチがいじめに加わっていないのは変だと思ったが流したのだった。

そして最終学年に上がった頃・・・


「殿下、 婚約破棄をして下さい」


ローから婚約破棄を申し出て来た。


「ローから婚約破棄か・・・こちらからするつもりだったのにな・・・」

「すみません・・・」

「それで? 相手は一体誰なんだ?」

「それは・・・御容赦下さい」

「・・・・・如何いう意味だ?」

「・・・・・」

「ピーマン様、 こういう意味です」


カラシナが現れる。


「え・・・」


そしてローの手を握るカラシナ。


「えええええええええええええええ!!!?」


【百合END】

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る