第7話 お風呂
「はぁー」
午後6時、カーテンが閉めて居るので外の様子はわからないが俺たちヲタクには関係ないこと。ヲタクというものは夜に生きるもので朝は大体寝て居るか、オールしているかのどちらかだ。
俺はコントローラーから手を離し、画面から視線を落とした。
「先輩?どうしましたか?何か悪いことがありましたか?」
俺の様子に気づき、千崎が聞いてくる。
「千崎...。何日この部屋に入り浸っているんだ?」
「入り浸ってるって酷いですね〜。えーと。たった3日ですね〜」
「家に帰らないのか?」
「帰りたくないです」
「えっ、そ、そうか」
急に来るからびっくりしてしまった。
そんなこと言われたら勘違いしてしまう。
「学校は行ってるんだよな?」
千崎は俺の部屋に3日連続、寝泊りしている。その間に溜まっていたギャルゲを消化していた。
「ちゃんと行ってますよ!週一ですけど...」
「週一!?流石にそれはまずいだろ!出席日数足りるのかよ!」
「ギリギリ大丈夫です!学校は真面目に行くところではないです!」
「千崎のメンタルが欲しいわ!」
そうやって割り切れる千崎は素直に凄い所だ。
「私のなら全部先輩にあげますよ♡」
「えっ、ま、マジで??」
「えっ、せんぱーーーーぃ?まさか本気だと思ったんですかーー??」
「じ、冗談だよな。わかってるって」
冗談なわけが無い。あわよくばを期待していたに決まっているじゃないか。
「そうですよねー。冗談言わないで下さい〜〜先輩」
「千崎もな」
「あははっっ」
「それより今日は風呂入れよ」
千崎はこの3日間風呂に一度も入っていないのだ。俺がそう言うと千崎は顔を赤らめる。
「一緒にですか?」
「は?な訳ないだろ」
照れ臭くて思わず否定してしまった。一緒に入りたいに決まっている。
「えへへへ。別に私は良かったのに」
千崎が思わぬ返事をしたので動揺してしまう。
「な、なら...」
お言葉に甘えて一緒に入るとするか!
「もう先輩!私以外に誘われてもほいほいとついて行かないで下さいよ!!私少し不安になりました」
「わ、わかってるよ。千崎だけだ」
「そ、そうですか。ならいいです...」
千崎が少し照れ気味で答えた。
「えっとー。それで、一緒にお風呂は...」
俺は千崎の言葉を聞き逃さずに追求する。
「嘘ですよ〜。全くダメな先輩です。本当に」
「だと思ったよ...」
「先輩は私の残り湯と風呂上がりの私の香りで我慢してください。ね?」
「お、おう」
なんか想像したら体が熱くなってきた。
「では、先輩が風呂に入れって言うので入ってきます。学校がなければ一週間入らないので先輩だけの特別ですからね?」
「と、特別か...」
てか一週間入らないって色々とやばいな。
「せんぱーーーーぃ?もしかしーーー」
「って早く風呂入ってこーーーーい!!!」
俺は千崎が挑発する前に背中を押して一階の風呂場へと押しやった。
「もう先輩は強引ですね」
千崎が去り際にそう呟く。
「いつもいつも紛らわしいんだよーーーーーー!!」
俺は声を荒げ、毎度のセリフを吐いた。
「あ、それと着替えってありますかっ?」
千崎は制服姿で、着替えもない。何か用意しないといけないな。
「俺のジャージでいいか?」
「大歓迎です!先輩の匂いがついたジャージ、、、えへへへ」
千崎は何かを想像して、よだれを垂らしている。それに満面の笑みで顔を赤らめていた。めっちゃ可愛い。
「なら、後で持ってくるな」
「ありがとうございます!それよりも先輩?着替えを持ってくるのを口実に覗きはダメですからね??」
「そ、そんなことは、、し、しないよ」
目が泳いで、言葉が途切れ途切れになってしまう。
「あははっっっ。興味深々なんですね。可愛い...」
「ほら、さっさと入れって」
「わかりました。最後に一つ。。。先輩?」
「な、なんだ?」
「覗いてもいいですよ?」
「気が向いたらな」
覗きたいに決まっている。だって千崎だよ?学校一の美少女が俺の風呂に入って、あられもない姿で居るんだよ?流石に見るだろう。
「あははははっっっ!!先輩、覗く気ですね?わかりました。気が向いたら覗きに来てください」
そう言い残し、千崎は風呂へと入っていった。
「ジャージ取りに行くか」
俺は二階にある自分の部屋に戻るのだった。
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