第64話・Another story 1
「じゃあミナ〜、次はこの二次方程式、分かるかな?」
「はーーいなのー!!これは〜…解の公式を使って〜…こうなの!!」
「うん!正解よ。じゃあ次はもうちょっと難しくしてみようと思…」
「ちょ待って凛花さん!!何ウチの愛娘を魔改造してんの!?」
いつも通り練習が終わり、7時過ぎに帰宅した俺であったが、家のリビングで中学3年の数学を教えてる嫁の姿があった為、思わず叫んでしまった。
「あら、おかえりなさい恭弥。何って言われても…教育としか言いようが無いわ。ふふっ、ミナってば凄いのよ?1教えたら100を理解するし、貪欲に努力もする。私と恭弥の遺伝子をしっかり受け継いでるわね」
俺の遺伝子を注いでる、というのは俺の娘だから当然だが、それでも嬉しいもんは嬉しい。思わず言葉が詰まるが、ミナはまだ4歳なのだ。まだ教えるには早すぎる。
「ん!!覚えると楽しいよ!パーもやる?」
「うぐっ…あ、ぁぁっ…やろうか」
我が娘の太陽のような笑顔には勝てなかったよ…。ある意味凛花よりも脅威になるなこの笑顔。
「あ!!そうだパー!!質問があるんだけどいい!?」
「質問かぁ…父さんあんま頭良くないから答えられるか不安なんだがな…」
何せ10年前だから、もう結構忘れてる。はーやだやだ。年はとりたくないもんだねぇ。
「あのね!子供ってどうやって作るの!?」
「っ!げぼっ!げほっ!!ごほっ!ごほっ!」
思わず唾を飲んでしまい、その唾が変なところに入って咽せる。チラリと見えた凛花の顔も、まさしく唖然と言ったような顔だった。
「ねぇねぇパー!!教えてよー!」
くっ! 辞めろ! そんなビー玉みたいなキラキラした目で俺を見るんじゃない!
「………そ、それはな…?お父さんとお母さんが…キスをしたら生まれるんだよ?」
ウチの娘は賢い。あり得ないほどに。だから定番のコウノトリが運んでくるというのは通用しないだろうから、キスを手段にした。
だが…。
「むぅっ…そんなのあり得ないじゃん!キスしたら生まれるなんて体の構造上あり得ないよ!」
ウチの娘賢すぎるよどうしよぉぉぉおおおお!!!
「そ、そんな事ないわよミナ。お父さんとお母さんが、キスをしたら子供が生まれるのよ」
「むぅっ…じゃあ今ここで子供作ってよ!」
ここで俺と凛花2人が吹き出す。親の気持ちというのは…こういう事だったのか…。
「凛花…」
「えぇ…」
何かをいうでもなく、俺と凛花は向かい合い、学生時代何度もしたキスをする。
「わぁあああ!」
ウブなミナは顔を赤くして、両手で自分の顔を隠すも、人差し指と中指の部分がガッツリ開かれ、俺らのキスシーンは見られることとなっている。
「分かったかしらミナ。こうやって子供を作るのよ」
「わ、わかったのぉ…」
「でも、これは本当に好きな人以外やっちゃダメ。幼稚園でも他人にやったりしたら絶対ダメだからね?これは約束」
「や、約束するのぉ…」
「うん、よろしい」
こうして、事件は一件落着した。
したからね?前振りとかじゃ無いからね?
収縮したから!!
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