第5話
「ん?どうしたよ凛花」
「う、うっさい…!なんでアンタ冷静で居られるのよ!」
チュンチュンという雀の囀りにより、俺と凛花は目を覚ます。そして俺の目の前には、一糸纏わぬ凛花の姿があった。
顔を赤らめ、恥ずかしがる凛花はなんともそそるものがある。
「冷静じゃねぇよ?いまにも凛花を抱きしめたくて仕方ないから」
「ぬぁ!?またそういう事平然というわね!」
クスクスと笑いながら本心を吐き出すと、赤かった顔をより赤らめて、叫ぶ様に声を出すのだった。
………
……
…
俺と凛花はそれぞれ服を着替えて、朝ご飯をくったりなどを一通り済ませた後、これから何をしようかと話していた。
俺がソファに座ってある状態で、凛花が俺の中にすっぽりとハマる様に座っている。これが俺らのいつもの定位置だ。
「どうする?」
「いつも通りでいいんじゃねぇの?」
普通のカップルの様に、土日何処かへ行って遊ぶ、というのが俺らには出来ない。学校の連中に見られれば即アウトだからだ。
だから俺らが行う遊びは、既に決まっていると言っていい。
「はぁ…やっぱりこれになるのね。まぁ嬉しいから良いんだけど」
そう言った途端、仏頂面が外れて体制を変え、俺に抱きついてくる。その抱きしめる強さは、俺でも少し苦しいと感じるくらいに。
「あぁあ…!!ほんっと好き!!ほんっと好き!!
好き好き好き!!ねぇ恭弥、キスして良いわよね!ね!?」
「いきなりフルスロットル全開だな。良いぞ」
俺ら2人しか居ないのだから、その状況を活用して楽しめるゲームをする。その名も欲望ゲーム。1分だけ相手を好きなようにして構わないというものだ。
「もう良いじゃない隠さなくても!恭弥は私の彼氏だって言えば、学校でもイチャイチャ出来るのよ!?」
「そりゃ魅力的な提案だ」
クッソ可愛い欲望状態の凛花。抱きしめてやりたいが、今は凛花のターンなのでそれが出来ない。
「むぅ…。まぁ良いわ!ならこの時間だけでも、全部堪能するんだから!!」
冷静沈着、クール、という言葉がよく似合う凛花だが、俺の目の前だと猫のように甘えん坊になり本性を出す。
それがとても嬉しい。俺だけしか知らない凛花の一面は、俺の誇らしさでもあった。
「うへへぇ…恭弥ぁ…恭弥ぁ…」
俺の名前を呟きながら頬擦りしてくる凛花だったが、欲望ゲームの制限時間がやってくる。
ピピピピッ、とアラームが鳴ると、即俺への欲望を止めて、俺に抱きつく形は変わっていなくとも、顔が見れるように少しだけ離れた。
「さぁ、次は恭弥の番」
だが俺は知ってる。一度欲望を吐き出してしまった凛花は、そのは一日中欲望を出さないと気が済まないことを。
今はなんとか堪えているだけに過ぎないと。
なら俺がやることは一つだけだ。
「な、何よ…どうしたの?」
「……」
俺は何もせず、ただじっとしてる。長い十秒が経過すると、凛花に変化が現れ始める。
「な、何よ!早く抱きしめなさいよ!」
おっ?もう欲望が出て来た。案外早かったな。と思いつつも、俺は何もせずに待つ。そして軈て、我慢の限界が来たのか凛花はプルプルと震え出す。
「ぐっっ…くぅ…」
「おいおいもう少し待てよ凛花、今は俺のターンなんだから」
まだ四十秒もあるのに我慢の限界が来ている。必死に耐えようとしている姿は、俺の嗜虐心をくすぐってくる。
「も…もう…無理!」
とうとう耐えられなくなった凛花は俺と唇を合わせた。口の中を縦横無尽に駆け回る舌。その快楽に身を任せると、四十秒は一瞬で経過した。
「はぁ…はぁ…」
息を荒立てて唇を離す。その姿はとても妖艶だった。
「我慢しろよ、今俺のターンなんだから」
「無理よ…というか、酷いわ、何もしないなんて」
「おう、悪かったな。だから今度は、ゲーム関係なしにイチャつこうぜ」
そう言って俺は、凛花を抱き寄せた。
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