第117話 RGE正式運用開始・後編
「以前魔薬事件の際に使用した、例のシステムがようやく調整完了し、全員利用可能になりました。ただ一つ問題が、データ転送するには重たいようで、直接Cデパイサーに私が組み込む必要があります。そのために来て頂いたのです」
「まあ、それなら仕方ない」
「圧縮とか試したの先生?」
レヴェネイトジェムエクステンダー、それは霊量超常現象と同じくらいすごい発明ともいえる、機械と魔法の融合、その新たな答えともいえるシステムであった。
対応する半霊量化した宝魔石を、ボードにはめ込むことで能力強化を図る、長年の研究テーマがようやく実を結んだ色々と画期的な強化術であった。
それを聞いた時枝はデータ量の大きい更新なのかと思い仕方ないと思い、逆に間城は圧縮して送信できなかったのかと尋ねた。
「どうも受け付けないようでね。1から組んだのが影響しているのかもしれない。Cデパイサーのメモリ自体はまだあるし、霊量片でさらなる強化はできるのだが、今回は申し訳ない。同時研究しているPMについては、メールでプログラムを転送できそうな容量なのでその時はその形式で配布します
なぜそうなったのか事情を説明した上でハーネイトは、もう一つ同時研究中のプロテクシオン・マージナイザーは容量が思ったより軽く今の状態でも通信による更新ができると判断しそう話した。
「では説明します。まずレヴェネイトジェムエクステンダー、略してRGMとは、宝石の特性をデータにしステータスなどに反映させるプログラムで……」
ハーネイトは壁に映し出された映像で、レヴェネイトジェムエクステンダーの説明を始めた。
Cデパイサー内のRGMアプリにて、10×10のボード上に、様々な形の魔宝石(ジェムタイト)を乗せる。それだけで様々な恩恵を受けられることについて説明した。
あまりに単純なため聞いていた全員は驚き、気になったことについて響たちはハーネイトに質問した。
「色の制限も数の制限もないのね」
「やろうと思えばすべて赤色にして攻撃力を上げられるのか」
「でも黄色系のCPに関するのも必要じゃない?」
「シールダーは体力を増加できる緑とかいるわね」
ハーネイトが話した、宝石の色によって受けられる恩恵が異なる点について話が進む。
例えば赤色の宝石は攻撃、黄色の宝石は霊量子の扱える量が増加、青が防御に関するなど、色々な話を聞いた彼らはどうカスタマイズするか話が止まらなかった。
「宝石の色と能力に関してはヘルプにも乗せたので見ていてくださいね。あと、ジェムピースに関しては転送は自在にできるので、私の下でデータ化したのは全てストックや交換はできます」
「自分の能力と鑑みて、設定してみてね」
「わかりました、リリーさん。これはいいものですね」
ハーネイトとリリーはそれぞれそう言い、ヘルプを見ても分からないことがあった時はすぐに聞いてほしいと念を押した。
また、宝魔石の貯蔵数が増えれば合成や強化なども研究していきたいと述べる。
「……本当に、呆れるほどよくやるわ」
「私は、もう誰も失いたくない。そのためならば……」
「みんなついているんだぜ。安心しろよ」
いつの間にかいた伯爵が、ハーネイトの言った言葉に対しそう返し、自分たちもいるからと言い彼を落ち着かせようとした。
そうして一通り話し終えたハーネイトは、実践あるのみだと全員のCデパイサーにアップデートを施し、早速どういうふうに導入するのかを手鳥足取り教えたのであった。
「てことで、早速設定してみましょう」
「赤が攻撃、青が……」
「いっそのことこれで絵でも作ってみようかな」
「ドット絵かな?できそうだけどそれは流石にどうなの時枝君」
「俺はアタッカーだしな、全部赤にしてみるのもありか」
「脳筋かテメエは」
「あんたに言われたくねえな勝也」
生徒たちは各々、好きにボードにジェムタイトをはめ込み実験してみた。特に五丈厳や翼が早速効果を確かめようとするも、具現霊に文句を言われたようで設定を再度していたのであった。
「……ちっ、スサノオに文句言われたぜ。いくら何でも脳筋ってよお……仕方ねえからCPアップとオブシディアンっていう奴を入れてみたぜ。宝石か……死んだ親も、好きだったな」
「具現霊と相談しないといけないわね」
「俺はロナウと決めてこうしてみたぜ」
「自分はこうしてみよう。言呪のデバフをもっと決めていきたいしな」
「私のはこれでいいみたいですね、分かりやすい強化システムはありがたいです」
こうして時間が過ぎ、遅くまで彼らは夢中になってセッティングをしていたのであった。
「私は堅実に戦いたいから、こうしてみたわ」
「おお、やってんなお前ら」
「韋車さんたちも講習と更新は受けたの?」
部屋に入ってきた韋車らは響たちの姿を見て声をかけ、自分たちは次の時間で講習を受けるといい遠くから様子を見ていたのであった。
「そうだぜ。おめえらもやっている見てえだが、見せてくれよ」
「全く、あの男は面白いな。話に乗ってよかったわ」
「だろスカーファ。頭も切れるし相当すげえゼ」
「これをこう……パズルだなこれは」
スカーファや黒龍は、ハーネイトが夜な夜な寝ずに何をしていたのか理解し、良く仕事をする男だと思い響や彩音のCデパイサーを見ながらどうすればいいのかを目で見て勉強していた。
「あとは認識ボタンを押せば……フフ、徐々に力が上がってくるのを感じるわね」
「なんだか前よりも体の中からみなぎる感じだ」
「……やるじゃねえか、先公。ちっ、憎めねえな」
「先生、私たちもっと強くなるからね」
「ああ、仇を取ってやる」
彼らはホテルを出て帰宅してからも、友達や親と共に新システムについて色々勉強していたのであった。
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