第9話 最期の少女

幼い私が夜と呼んでいた時間の延長に

まだ知り得ない空間を

大人は隠していた


ずるい


冬になりかけの空気がアルコールみたいに

私の唇を痺れさせた


無機質な蛍光灯の光が

私の肩に降り積もると

せっかく垣間見えた私の断片が

平凡な哀しみに一般化されそうで

また瞳の奥に隠れてしまう


何を恐れているの?


獅子座の流星群が

本当に空を駆け巡っているなら

私の血液と共鳴して

早くひび割れてもらいたい


限りなく透明な夜の空気と

あまりにも密な恋人たちの吐息を

この身体の中で均すのはやめてくれないか


私の瞳がまだ透き通っているうちに

この夜の感覚を

ちゃんと指先に留めておこうと誓う

19歳の夜

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