第5話 牛乳瓶

牛乳瓶から透かした夜が

白く濁って明るく見えた


本当なのかな


丸裸の電球を奥歯で噛み砕いて

絶命したい


人間なんて


いや、

ごめん


本当は何も知らない


夜、車の無い駐車場で

僕は自由


アスファルトの黒光りに含まれる

怪しいカタカナの物質を

身体いっぱいに吸いながら

両手を広げてくるくる回る


愛しているとか

信じているとか


そういう

曖昧で生温いもの


僕を含め

大体のにんげんは

見ようとしなくたって

ちゃんとわかっている


こわいんだ


だって


こんなにも

自由


無機質な毎日を

僕は一生

架空の空白を埋め合わせる作業に使う


しかもそれが

美しいだとか

ゴミだとか言われる


白線が夜をどこまでも引っ張っていってしまいそうで

残った牛乳をぶちまけた


夜、車の無い駐車場で

僕は自由


牛乳瓶から透かした夜が

白く濁って明るく見えた


本当なのかな

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