7.33.ダンジョンにて
はぁーいどうも応錬です。
遠い方の洞窟まで来たわけですけども、意外と近かったことをお知らせします。
近い方の洞窟に比べると確かに遠いけど、二時間もかからんかったやないか。
まぁ別にいいけどさ。
ということで早速アレナと一緒に中に潜っている訳なのですが……どーにも魔物の数が少ない。
表層だからというのはあるのだろうけど、それにしたって少なすぎる気がする。
出てきたのはゴブリン五匹と見たことのない狼二匹。
ダンジョン攻略というよりダンジョン観光に来ている気分だ。
安全であることには変わりないのだけど、もう少し敵が出てきてくれないとレベルが上がりません……。
Dランク帯が推奨されているダンジョンなので、そもそも敵の数が少ないのかもしれないけどね。
まぁまだ奥はあるみたいだし、ゆっくり探索していくことにしよう。
「ふーんふふ~ん」
『……ちゃっかりマップ作ってんのな……』
今は俺たちしかいないので、もう少し周囲に気を使って欲しい所ではあるが、敵の数も少ないし俺の操り霞もあるので索敵は問題ないだろう。
まぁ気ままに進んでいくか。
やっぱり食べた方が経験値は多く獲得できる。
リゼがレベルマックスになっているのも納得だ。
貴族の所にいるみたいだし、それはそれは豪華な食事を何の苦労もせずに食べることができているのだろう。
畜生。
だから耐性が一個もないんだよ。
俺たちはめちゃくちゃ苦労してきたからな!
耐性も技能の使い方も、レベルマックスで最終進化をしているリゼには絶対負けんからな!
まぁ愚痴をこぼすのはこの辺にしておこう。
ようやく敵のお出ましだ。
俺はアレナを尻尾で突っつき、敵が来た事を知らせる。
前方に三体。
今回は蜘蛛の姿をしている変な虫だ。
随分と大きい様だが……地面をゆっくりと歩いて進んできているな。
蜘蛛だから壁とか登るのかなって思ったけど、そんなことはなかった。
あんまり強くなさそうだけど、直接戦うのもあれなのでもうここから仕留めてしまおう。
『『連水糸槍』』
糸をピンと張った状態で、蜘蛛に向けて二本の槍を飛ばしていく。
相手はそのことに気が付いていないようで、簡単に両断されてしまった。
連水糸槍も随分と熟練度が上がったものだ……。
本当に凄い切れ味になってしまっている。
俺の技能の中でもトップを争うくらい優秀な技能だぜ!
まぁ一番凄いのは操り霞先輩なわけですけども。
「……え、終わっちゃった?」
『え、終わったよ?』
俺はアレナの言葉を聞いて頷く。
すると、アレナはむすっとしてこちらを睨んできた。
「私も戦いたいんだけど……」
『え、あ! まじかごめん!』
こ、言葉が届かないので体で表現するしかない……。
……あ!
そうだよ、こういう時こそ昔アレナと一緒にやった顔文字の出番じゃないですか!
ごめんなさいっ「(:>人<)」!
顔文字を見せると、アレナはすぐに笑顔になってくれた。
「あ、懐かしい!」
『人間の姿になって以来絵文字や顔文字使うことなんてなかったからな』
「でもあれだね……。応錬の性格知ってからそれ見ると、変だね……」
『おい』
アレナまでそんなこと言うんですかっ!
今度は俺がふてるぞ!
ていうか俺魔物の姿になってから災難すぎじゃない!?
皆の対応酷くない!?
とりあえず人間の姿に戻ったらまずは鳳炎一発ぶん殴ってやるからな……。
天の声と会った時に殴ればよかったかもしれないけど、あれだとなんか力入らないし、夢だからダメージもなさそうだったから止めたんだよね。
現実でぶん殴るに限るな。
さて、じゃあ次魔物に会ったらアレナに渡しますかね。
俺は奥の方で倒した蜘蛛を食べることにしよう。
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