7.14.取得条件


 人化の条件?

 そう言えばあれよく分かってなかったなぁ。


 確か……質量、言葉、善行、理解、姿形……だったか?

 質量は俺が進化したと同時に達成して……善行もガロット王国の問題? を解決した時に達成したと思う。

 あとは何だったっけ……全然覚えてないんだけど……。


 ていうか急に反応した時もあったよな。

 零漸は歩いてたら検出しましたっていう声が聞こえて来たから、歩いてたら獲得できる物なんだなって思っていたらしいし。


 質量は……まぁ人になるための重さ……だろうなぁ。

 これは字面から見て取れる。

 言葉ってのは多分人の言葉を聞くことかな。

 善行っていうのが難しい気がするけど、まぁいいことをすれば問題ないということだろう。

 あれで善行を成したことになるというのかは分からないが、その辺は緩いのかもしれないな。


 姿形っていうのは……なんだ?

 これと理解ってのが本当に意味が分からん。

 ていうか検出したっていう言葉が分かりにくくさせている感じがするんだが……。


『鳳炎は何かわかるか?』

「いや、私もよく分かっていない。質量、言葉、善行、理解、姿形は適当に空を飛んでいる時に獲得できた。獲得条件があるのかこれ」

『私はこの世界の人間の文字を理解した時に、理解を検出しましたって聞いたわよ?』

「『……それじゃね?』」


 え、ちょっと待ってそれだとこいつ……。


『お前この世界の文字読解したの!?』

『えっ、あーいや……メリルに絵本を読んでもらって……それでなんとなく……』

「『すげぇな!?』」


 そ、そうか……。

 俺たちがこの世界の文字を読めるのは、こいつが人間の世界で文字を学んでいたからなのか……。


 ……ん?

 てことは……もしかしてこの条件って共有してんのか!!

 誰か一人がその条件を取得すれば、それが全員に反映される。

 だから何もしていなくても取得できるのか!


 これであれば鳳炎と零漸が何もしていなくても取得できたっていうのにも納得がいく。

 うわぁ……今この謎が解決された……。


『一番頑張ったのリゼじゃん。俺進化して人間と同行してただけで獲得できたからな』

『何もしていない奴よりマシじゃない?』

「ウグゥ」

『あと姿形っていうのは人の姿をたくさん見ることだと思うわよ。メリルに連れられて結構いろんな種族見てたし』

『ああ、俺も鬼とか王族とか結構見てたわ……。なるほどね、それか』


 知らない間に結構頑張ってたのねー。

 鳳炎はこれに関して何にもできてなかったけど、その代わり人間の世界を人の姿で把握していてくれたし、零漸は仲間としていろいろ頑張ってくれたしなぁ。


『そういえば、貴方はもうレベルマックスなの?』

『……ん? いやまだだが?』

「私もまだだ。後二回ほど進化を残している気がする」

『いやそれは知らないけど……遅いのね』

「『……え、まさか』」

『私はこれが最終進化先よ』

「『なにいいいい!?』」


 いや確かに白虎だけど!!

 随分小さいんだな!?


 ていうか早すぎないか……?

 俺今レベルが上がらない状況で苦しんでいるっていうのに……。


「早くないか!? 何時転生したんだ君は!」

『私は……半年くらい前かしら? もうあんまり覚えてないわ』

『早すぎるだろ……! 今のレベルは!?』

『300よ』

『お……え? 300?』


 その数字って今の俺の最大レベルじゃね?

 てことは次で終わりなの!?

 いや、早い分にはいいけど……そうかもう終わっちゃうのかー!


 それはそれで少し寂しい気もするな。

 なんせ進化して龍になることが俺の目標だったし、それが無くなったら次何をしていくかを考えておかないといけない。

 まぁ普通にこの世界を旅していくのもいいんだろうけど……。


 いやそれよりも……まだ問題が残っているんだよな……。

 あの悪魔のこと。

 先代白蛇のことはあんまり良く分からなかったし、その伝承も少ない。

 何とか接触を試みたいが……その情報も集めれていないしな。


 ……こいつに頼めば何かわかるか?


『リゼ。お前の住んでいる所に書庫のようなところはあるか?』

『書庫? あるけど……あるのは絵本や小説、お伽噺やそんなところね』

『資料なんかはあるか? 歴史の資料だ』

『私もこの世界のことを理解しようと思って探してみたことはあるけど、詳しいのは今私の住んでいる所にはないわ。それこそサレッタナ王国の城の中にくらいしかないんじゃないかしら?』


 まぁそうなるよな……。

 だがそれなら何とかなる。

 今俺たちはサレッタナ王国の王子と接点があるため、それくらいであれば許可してくれるかもしれない。


 だが今の俺はそこに入れないだろうし、鳳炎は一人では行きたくないというだろう。

 子供が入るのもおかしな話なので、アレナだけで行くということも難しい。

 やっぱりまずは俺の進化が最優先か……。


 リゼは悪魔のことについては全く知らないだろうし、教えるということはしなくてもいいだろう。

 協力してくれるのであれば問題はないのだが、こいつは今行動を共にすることは無さそうだしな。


 それは鳳炎も思っていることらしく、俺が質問を終えた後、目線を合わせてみると首を横に振った。

 伝えない方がいいと言っているのだろう。


 まぁ……今の段階だと部外者だしな。

 零漸は仲間だし、協力してもらうことになるだろうけど。

 でも起きてもらわない事には何にもできないか……。


 今日は雪は降っていないが、そろそろ積もり始める程に降り始める時期がやってくる。

 雪が解けるまでは活動できないと思っておいた方がいいな。


『それでなんだけどぉー……』

「?」


 リゼは俺と鳳炎の匂いを遠くからスンスンと嗅ぎはじめる。

 それでやはりといった様に頷いた。


『ジグルって知ってる?』

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