5.28.詳細
零漸が飛んで来やがった!!?
どうして何があったんだお前!
ていうかお前また空から飛んで来たな!
あそこから飛んできたってことは……ウチカゲにぶん投げてもらったのか!
で、でもなんで零漸がここにいるんだ?
あそこのダンジョンには教会にある魔法陣で向かったはずだ。
俺たちで行った時と同じであれば、石を使って戻ってこれるはずだが……。
どうしてこんなところにいるんだこいつ。
「いや! 魔法石使おうとしたら見当違いの所に飛ばされたんすよ! 今さっき使ったんすけどね!」
「てことは教会の魔法陣に何かあったか?」
「出てきたところが魔物の群れの中心だったからすっげぇ焦ったっす!」
「だろうな……」
魔法陣が使えない状況で石を使うと変な所に飛ばされるのか……。
でも近くでよかったな。
マジで変な所に飛ばされたら帰ってこれなかっただろうし。
あれ、でも帰ってくるの早くね?
攻略するのってたしか結構時間使ってたよな?
何日だったか忘れたけど、三日で帰ってはこれ無かった。
何かあったのか?
「やけに早い帰宅だが、何か問題があったのか?」
「あ! そ、そうっす! 魔水晶ってのがあったんすよ!」
「魔水晶……。聞いたことはあるし予想もついているが、結局あれはどんなのなんだ?」
魔水晶に関して知っている者は誰もいなかった。
まさか零漸の口から魔水晶という言葉が出てきた事には驚いたが、知っているのであれば教えてもらいたい。
どんなものか分かれば対処できるかもしれないからな。
「ムカデいたじゃないっすか! 水晶の中から出てくる奴! あの水晶が魔水晶っていう代物で、魔物の素材と魔力を籠めることによって無限に魔物を湧かせることができる物なんすよ!」
「……ちょ、ちょいまち。い、今この目の前に広がっている魔物の群れは、全てその魔水晶によって作られた物って言いたいのか?」
「そうっす! 地面に置くんじゃなくて、埋めることによって魔物を日の届くところに湧かせれるみたいなんす!」
まじで?
え、じゃあ俺こいつら殺しても延々と湧き続けるんだから意味ないじゃん。
どうしろって言うんだよ!
でもとりあえずあの水晶がどういう物かってのは分かったな。
となるとあの黒い塊はこれを国にばら撒いていたのか……。
こりゃ鳳炎の方もだいぶやばそうだな……。
「応錬様!」
「ふぎゅぅ!」
ウチカゲがアレナを肩に担ぎながら出現した。
アレナ、お前ウチカゲの速度にどうやって耐えてるんだ。
「零漸殿からお話は聞かれましたか!」
「ほとんどな。にしてもよくこんな早くに帰ってこれたな」
「アレナの地図のお陰なのー!」
「はい。でもそのことについては後で。魔水晶は零漸殿が見つけることが出来ます。なのでダンジョン内の魔水晶は全て破壊しました」
「マジか! じゃあこれ以上は増えないんだな!」
「はい!」
外の問題は何とかなりそうだ。
終わりが見えるのだからな!
報告の数字と明らかに違うってのはこういう事だったのか。
ていうか誰が作りやがったあんなもの。
あの塊野郎か。
今思い当たるのはあいつしかいねぇんだよなぁ……。
配置するとか言ってたしな。
とは言え後これだけの数を殺さなければならないというのはきついな……。
もう結構近づいてきてるし。
時間が無い。
とりあえず三人には中に入ってもらおう。
「三人! 帰ってきてそうそう悪いがサレッタナ王国の中に入って魔水晶を探してくれ!」
「どぅええええ!? こ、ここにもあるんすか!?」
「恐らくな! だが数は少ないと思う! ムカデの発生場所を重点的に探せば見つかるだろう!」
「零漸いくよー!」
「休む暇もないっすね!!」
すまんな……。
こっちもこんなことになるだなんて思ってなかった。
こんな事なら冒険者以外は国を出て行ってもらっておいた方が良かったな。
後の祭りだが。
「俺はこっちを片付ける!」
「ええ!? 大丈夫っすか!?」
「ちょっと試したい技能があるから早く下がってくれ」
「分かったっす!!」
三人が中に入っていってという事を確認した後、俺は一つの技能の準備をする。
すまん冒険者。
殆ど出番奪っちまうことになる。
許せっ!
「『破壊破岩流』」
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