第92話-おねぼうにいちゃん
ある日の日曜日の事。
「あれ? お兄ちゃんまだ寝てるのかな?」
珍しくまだ起きてこないお兄ちゃん。 昨日遅くまでお勉強でもしていたのかな?
「お兄、おねぼうさん?」
まどかが心配そうに姉である私に問いかける。
「お寝坊さんではないよ。 いつもはもう起きて色々してくれるのに、今日は起きてこないねー……」
私とまどかが心配していると、「寝ていたっていいじゃないかっ。 そう。 人間だもの」と、葵が遠くを見つめるようなまなざしをしながら言って来た。
「葵! そんな、み〇をさんみたいに言わないのっ! でも葵の言う通りお兄ちゃんも人間だから寝ていたい日もあるよね……」
少し心配ではあったけれど、私たちはしばらく様子を見ることにしました。
が……。
「お兄起きてこないね」
あれから三十分ぐらい経ったが、まだ起きてこないお兄ちゃん。
「もしかして風邪とか引いちゃってるのかな?」
もしそうなら起きてこない理由にはなるよね。
なんて思っていると「私見てくるよー!!」と葵が止める間も無くお兄ちゃんの部屋に向かって行ってしまった。
きっと大丈夫だろうと思いながら、私は家事を続けるのであった。
――――――
その頃亮一は……
「すぴー」
爆睡していた。
それには色々理由があるのだけど、まぁ簡単に言うと夜更かしをしてしまったのだ。
「にいちゃんー? 開けていーいー?」
「ん……? ど、どうぞー。 むにゃむにゃ」
にいちゃんの部屋のドアを開けると、そこにはいつもなら見せない、だらしのない兄がいた。
「にいちゃんのねがおかわいー」
いつまでもこの寝顔を見ていたかったが、ここは心を鬼にして起こすことにした。
「にいちゃん朝だよー! おきてー!」
何回か呼び掛けると、少し寝ぼけてはいるが起きた模様。
「あれ……? 葵ちゃん……?」
「おはよーにいちゃん」
――――――
葵が呼びに行ってから十五分位経ったが、葵が戻ってくることは無かった。
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