第78話-美術の授業2

 授業後半。

 俺は完成が間近に迫ったこの絵を仕上げていた


 黙々と一人で描いていく。

 窓の外からは、絵が描き終わったであろう生徒の笑い声が聞こえていた


「おっ! 亮一やってるなぁ!」


 突然後ろから声がした。

 知幸のようだ


「へぇー!! 亮一絵なんか描けたんか!」


 俺の絵を見た知幸は、委員長と同じ反応をした。

 そして同じ「妹達とお絵描きをしたから」と、苦し紛れの言い訳をすると、知幸は苦笑いをするも、話を切り出してきた


「あっそういえばリズさんがおまえさんを探してたぞ?」


「リズさんが?」


 どうしたのだろうか。

 理由は分からないが、絵が仕上がったらみんなが集まっている外に行ってみるとしよう


――――


「よーし! こんなもんかな」


 出来上がった絵を端から端まで良く見て、最後のチェックをする。

 うん。 大丈夫!


 俺は一旦絵をその場に置き直し、水道に絵の具を片付けに行った。


――――


 片付けが終わり、教室に戻ると見知らぬ人が俺の絵を見ていた


 その人は、俺の存在に気がつくと、こちらに振り向いた


「あっ! ごごご、ごめんなさいっ! 素敵な絵だなーっておもって!! 勝手に見てごめんなさいー!!!」


 その「黒いメガネをかけた女の子」は謝った後、教室の外へとダッシュで駆けて行ってしまった

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