動物園編

第44話-動物園前日

 ある土曜日の夜……


「イェーイ!! 動物園! 動物園!」


「動物園……カピパラさん見れるかな……」


 はしゃぐ妹逹。明日はアルバイトで貰ったお金で妹逹と動物園に行くのだ。

 ちなみにお父さんとお母さんはお留守番。


「走り回って怪我するなよー」


 俺がはしゃいでいる妹達に注意をする。


 妹逹がはしゃいでいると、お父さんお母さんから妹逹へ声がかかる。


「おーい沙耶、葵、まどか。ちょっと来なさい」


 なんだなんだ?と、テーブルに座る妹逹。


「どしたのとおちゃん。とおちゃんも行きたくなったの?」


「そうじゃなくてな、お前逹にお小遣いをあげようと思ってな」


 そう言うとポチ袋をみんなに手渡す。


「亮一にだけみんなの分のお金を払わせるのは悪いからな。大事に使うんだぞ」


 妹逹はコクリと頷き、ポチ袋を受けとる。


「お父さんありがとう。大事に使うね」


 沙耶ちゃんがちゃんとお礼を言う。

 それに続き、葵ちゃん、まどかちゃんもお礼を言った。


「ちゃんとお礼が言えて偉いな! 亮一の言うことちゃんと聞くんだぞ!」


「(妹逹)はーい!」


「さ、あなた達、明日の準備が出来たら早めに寝るのよ。」


「(妹達)はーい!」


 妹達は部屋に戻り、明日の準備を始めた。

 部屋に戻る妹達を見送ったお父さんお母さんは、俺の事を見てこう言った


「亮一君。せっかくのバイト代なのにありがとうね。妹達をよろしくね」


「亮一には家の事も何から何までやってくれて感謝してる。俺からもあの子達を頼む」


「それは違う」と言うかの様に俺は首を振る。


「これは俺がしたくてしている事だから。悪いとか思わなくていいからね。明日、楽しんで来るよ。じゃあ、俺部屋に戻るね」


 俺はリビングを後にし、部屋に戻った。

 リビングに残ったお父さんお母さんは俺の話をしていた


「亮一君のような子があの子達のお兄さんで本当に良かったわ。頼りになる子ね」


「ああ、あいつは誰にでも優しいからな。きっと、沙耶達も亮一がお兄ちゃんで良かったと、そう思っているだろうよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る